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  1. 秋田県議会 2001-02-01
    02月22日-03号


    取得元: 秋田県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    平成13年  2月定例会 本会議議事日程第三号  平成十三年二月二十二日(木曜日)  午前十時開議第一、一般質問第二、高等教育に関する特別委員会調査事項経過報告件---------------------------------------本日の会議に付した案件    議事日程に同じ--------------------------------------- △午前十時零分開議 本日の出席議員    四十六名      一番  加成義臣      二番  安藤 豊      三番  土谷勝悦      四番  菅原龍典      六番  工藤任国      七番  栗林次美      八番  大関 衛      九番  川口 一      十番  安杖正義     十一番  宮腰 誠     十二番  樽川 隆     十三番  平沢健治     十四番  小番宜一     十五番  村上 薫     十六番  小田美恵子    十七番  武田英文     十八番  金谷信栄     十九番  鶴田有司     二十番  冨樫博之    二十二番  穂積 志    二十三番  小田嶋伝一   二十四番  野原多津美    二十五番  原 盛一    二十六番  大野忠右エ門    二十七番  木村友勝    二十八番  加藤義康    二十九番  佐藤健一郎    三十番  中泉松之助    三十一番  佐々木長秀   三十二番  伊藤万治郎    三十三番  長谷部 誠   三十四番  能登祐一    三十五番  鈴木洋一    三十六番  菅原 昇    三十七番  大里祐一    三十八番  工藤嘉左衛門    三十九番  津谷永光     四十番  北林康司    四十一番  児玉 孝    四十二番  山田靖男    四十三番  佐藤次男    四十四番  藤原俊久    四十五番  辻 久男    四十六番  高久正吉    四十七番  柴田康二郎   四十八番  北林照助本日の欠席議員    二名      五番  伊藤昭二    二十一番  石田 寛---------------------------------------   出席議員    四十五名      一番  加成義臣      二番  安藤 豊      三番  土谷勝悦      四番  菅原龍典      六番  工藤任国      七番  栗林次美      八番  大関 衛      九番  川口 一     十一番  宮腰 誠     十二番  樽川 隆     十三番  平沢健治     十四番  小番宜一     十五番  村上 薫     十六番  小田美恵子     十七番  武田英文     十八番  金谷信栄     十九番  鶴田有司     二十番  冨樫博之    二十二番  穂積 志    二十三番  小田嶋伝一    二十四番  野原多津美   二十五番  原 盛一    二十六番  大野忠右エ門  二十七番  木村友勝    二十八番  加藤義康    二十九番  佐藤健一郎    三十番   中泉松之助   三十一番  佐々木長秀    三十二番  伊藤万治郎   三十三番  長谷部 誠    三十四番  能登祐一    三十五番  鈴木洋一    三十六番  菅原 昇    三十七番  大里祐一    三十八番  工藤嘉左衛門  三十九番  津谷永光    四十番   北林康司    四十一番  児玉 孝    四十二番  山田靖男    四十三番  佐藤次男    四十四番  藤原俊久    四十五番  辻 久男    四十六番  高久正吉    四十七番  柴田康二郎    四十八番  北林照助---------------------------------------     地方自治法第百二十一条による出席者          知事                  寺田典城          副知事                 千葉 隆          出納長                 佐藤正夫          総務部長                青山 鈞          企画振興部長              米田 浩          健康福祉部長              根津谷禮蔵          生活環境文化部長            佐藤博身          農政部長                佐藤洋一          林務部長                川喜多 進          産業経済労働部長            横山忠弘          建設交通部長              小田内富雄          出納局長                鎌田 暹          総務部次長兼知事公室長         川辺征夫          財政課長                池田達雄          公営企業管理者職務代理者        柴田久夫          教育委員会委員長            糸井健二          教育長                 小野寺 清          選挙管理委員会委員長          加藤 堯          人事委員会委員長            加賀谷 殷          公安委員会委員長            藤井 明          警察本部長               片岡義篤          地方労働委員会会長職務代行者      小西尚志          代表監査委員              工藤 昇--------------------------------------- ○副議長(中泉松之助君) これより本日の会議を開きます。 諸般の報告は朗読を省略いたします。--------------------------------------- △議長報告(朗読省略) 一、地方公務員法第五条第二項の規定により次の議案三件について人事委員会の意見をきいたところ、別紙(二月十九日付)のとおり回答があった。 (1) 議案第四四号 一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条          例案 (2) 議案第四五号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例案 (3) 議案第七八号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正          する条例案--------------------------------------- 人委-一二一九 平成十三年二月十九日 秋田県議会議長 様                            秋田県人事委員会委員長     条例案に対する意見について(回答) 平成十三年二月十六日付け議調--九〇九で求められた条例案に対する当委員会の意見は、次のとおりです。  議案第四四号 一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案  (意見)    適当と考えます。  議案第四五号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例案  (意見)    適当と考えます。  議案第七八号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例案  (意見)    適当と考えます。--------------------------------------- ○副議長(中泉松之助君) 日程第一、一般質問を行います。三十六番菅原昇君の一般質問を許可することにして御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり] ○副議長(中泉松之助君) 御異議ないものと認めます。三十六番菅原君の発言を許します。     [三十六番(菅原昇君)登壇](拍手) ◆三十六番(菅原昇君) 自民党の菅原です。 寺田知事に対し、私はなぜか今回で四回目の質問になります。これもひとえに秋田県勢の躍進を願い、県民生活の安定を願うがゆえの質問であります。このような考え方に立ち、かつまた二十一世紀の望ましき県政のあり方を求めて質問を進めてまいりますので、寺田知事におかれましては、二十世紀を締めくくる知事として、四年間を総括しながらお答えいただきたいと思います。 依然として景気回復が実感としてわかない状況下にあります。秋田県の過去十年間の歳入の状況について見ますとき、県民税や法人事業税の伸び悩みが目につきます。平成十一年度決算について見るに、県民税千二億円は、初めて千億円台に上ってあった平成六年度の千九億円よりも少なくなっています。また、法人事業税の平成十一年度決算は二百二十一億円となり、平成元年の二百三十億円を下回っております。もちろんこれらの背景には、住民税の特別減税や法人関係税の税率の改正による影響もありますが、税収難の実態がうかがえます。 一方、これらの減収を補うかのごとく地方交付税は伸びてきております。しかし、交付税財源を確保するため、国にあっては国債の伸びが心配の種であります。結果的には、国、地方合わせて六百兆円を超える長期債務残高が気になります。これまた見方を変えてみますと、次のような考え方もあります。それは、明治の初期、福沢諭吉が著した「民間経済録」なるものであります。 それによりますと、当時のヨーロッパ各国は、自国の年間予算の数倍以上の国債を抱えていたというのであります。特に、次のくだりが興味を引きます。「西洋各国の政府にて国債を負わざるものなし、一八七八年英国の国債、すなわち負債の高は歳入の十倍にして、毎年払うところの利子は歳入の三分の一なり。……国債憂れうるに足らず、永遠の大計に眼を着し、費やすべきに費やす……」云々とあります。また、そのころのイギリスにありましては、新鉄道十五カ年計画があったとも説かれています。まさに公共事業盛んなりしころのヨーロッパ各国の事情であったと考えられます。 年間予算の十倍も借金したイギリスは、世界から消えたわけではありません。だから年間予算の十倍ぐらいまでは大丈夫だろうとは言いません。しかし、必要に応じて行うべき事業取り組みについては、地方債、国債ともに必要なものとして、県民、国民に説明し、その不安と動揺を極力抑えなければならないと考えますが、知事の御所見についてお伺いいたします。 いずれにいたしましても、都度あるごとに言われていますことは、この先、かつてのような右肩上がりの経済成長の期待はできるものでもなく、これからの行政運営、財政運営は極めて厳しい環境下に置かれてくるものと考えられます。 そこで注目されるのがNPO組織の存在であります。もし、経済成長盛んなりしころ描かれた福祉国家の姿を求めると仮定した場合、この先、高齢化率の伸展と相まって、福祉予算は幾何級数的に増大し、福祉の分野だけで県財政がにっちもさっちもいかなくなることも考えられます。税金さえ払えばあとはすべてを行政にゆだねることができる、高度経済成長時代の国の姿はそのような傾向にあったことも確かであります。 しかし、今は違います。平成七年の新年早々の阪神・淡路大震災、あるいはその二年後の日本海重油流出事故、当時行政がやり遂げられなかった問題や行政感覚ではとても考えつかない問題等で、多くのボランティアの方々の働きにより救われたというのであります。 これら背景のもと、平成十年三月には、国会において議員提案のもとNPO法が策定されております。もちろん秋田県にありましても、これら取り組みのため、既に前の新総合発展計画後期計画の中で、ゆとり生活創造センターへの取り組みを示していたところであります。しかし、その事業は、およそ三年おくれの取り組みであります。何がゆえにおくれたのか。事業費の見直しでおくれたのか、それにしては長い三年です。知事の取り扱い判断について、篤とお聞きしたいと思います。 次に、今後のNPOへの取り組みについて具体的に質問してまいります。今回の当初予算、NPO活動促進事業費約七億五千万の計上であります。NPO法そのものは十二の分野で取り組みが示されていますが、やり方によっては、あらゆる分野での取り組みが可能なものと考えられます。今後、多くの県民の理解が進むことにより、福祉の分野に限らず、教育の分野、スポーツ振興、あるいはまちづくりを含めた地域の活性化や各種公共施設の管理業務もあります。さらに、二十一世紀は環境の時代、これまた行政一辺倒でいきましたら、幾ら財源があっても足らない分野であります。これらに関して知事はどのような見解に立たれているかお尋ねいたします。 また、この事業推進のため、さきに県庁内に各部を横断した形で十数名から成る調査研究チームが編成されておりました。その報告書には数々の提言があり、NPOの社会的地位向上に資するものがあります。そして、最後のまとめで、「行政にとって、NPOは現代の黒船です」と結んでいます。まさに的確な判断であると思います。一方、あきたNPOセンターが調査した調査報告書もあります。行政とのかかわりの中で、こんな指摘があります。「行政のNPOに対する認識がまだ薄い」、また「行政自体が行政マンに対して、NPOの認識を深めるため、啓発の事業を多く持ってもらいたい」とも言っています。せっかく調査研究チームを立ち上げ、立派な報告書があるにもかかわらず、その活用がなされていないのではないかと考えられますが、知事の御所見をお伺いいたします。 そこで、まずその普及啓発のための取り組みについてであります。二〇〇一年はボランティア国際年であります。これは、平成九年の国連総会において、我が日本の提唱するところによりなされたと聞きます。もちろん秋田県も、国際ボランティアの日としての取り組み事業があります。あるいはまた、平成十七年開催目標の全国ボランティアフェスティバルもあります。これらの取り組みは、それぞれ時宜を得たものであり、その成果に期待するものであります。 なおまた、これら事業の推進に当たり、県庁内はもとより、県内六十九市町村の取り組みもまた大事でありますが、今後の具体的な事業への取り組みについてお伺いいたします。 既に問題点の中でもとらえられていましたが、行政そのものがNPOに対する認識やNPOの果たす役割について把握できないでいると指摘されています。一方、チーム21設置構想の中で、NPOやボランティアなどが県民組織との協働による取り組みを促進すると掲げています。言うまでもなく、これら取り組みの推進の際には、行政マンの意識改革が最大の柱になろうかとも考えられます。県庁職員は、一市民として一県民として積極的に市民生活の中に溶け込み、市民活動に取り組むことからスタートしなければならないと思います。そのためには、県庁職員が取り組みやすい環境の整備も大事であります。提案の中でも示されていますが、ボランティア休暇制度のあり方や、職員研修における必須項目の一つとするなど、その工夫、改善が急がれますが、知事の御所見についてお伺いいたします。 また、一般市民、企業等により社会奉仕活動が続けられてきていることも確かであります。しかし、まだまだNPOへの関心の度合いは低いものと思われます。これらの向上のため、幼少期からの体験活動、あるいは県立大学でのボランティア講座なるものの発想もあるようでありますが、具体的にどのような推進計画があるのか、あわせてお伺いいたします。 また、これらとあわせて、県庁職員には専門的なNPOガイドブックの必要があるでしょうし、一方では、一般市民を対象としたガイドブックの作成もあってしかるべきと考えますが、いかがなものかお伺いいたします。 いろいろとその普及啓発等について申し上げてまいりましたが、日本におけるNPO法自体が、立ち上げられて日が浅いものがあります。まだまだ改善がなされていくものと思います。ここに、あきたNPOセンターが昨年調査した東北管内におけるNPOサポートセンターの現状に関する調査報告書があります。すべての県が税制面での改正を望んでいます。すなわち公益の点から、法人税免除等の優遇措置の整備を行ってほしいとの希望があります。ほとんどのNPOはみずからの財政基盤確立のため、四苦八苦している状況下にあります。今、一定の改善の方向が見られるものの、その他各種支援策を含め、NPOに対し支援してまいるべきと考えますが、知事の御所見についてお伺いいたします。 このようにして一定の基盤が整うまで、県は大いに介入してしかるべきでありますが、所期の目的が達成された後は、行政側としてはある一定の距離を保ちながら、今度はあらゆる分野にわたってNPOを活用してしかるべきと考えます。行政との事業受託について、それぞれのNPOからの指摘があります。「どこの県とは言いませんが、行政のNPO対応が悪い」、「まだほんの一部の部署しかNPOのことがわからない」、「行政のNPOに対する認識がまだ薄い」、「事業を協働で行うためのシステムがまだできていない」、「行政との関係は今後さらに重要である」等々であります。これらの声にこたえていくとすれば、県庁内で外部委託事業のあり方について、あるいは外部委託の明確な目標を定め、そのシステムづくりを含めて対応してしかるべきでありますが、知事の御所見についてお伺いいたします。 NPOの先進地域になれば、その構成メンバーも多士済々、一般家庭の主婦がいれば学生や若者もいる、民間会社勤務の方、公務員やそのOBもいる、中には議員もいる、大学教授や弁護士や公認会計士等々、あらゆる分野に及びます。もちろん秋田県にあっても、NPOの成熟した社会を求めての取り組みが急がれます。そして、時には地方自治体の事業評価や政策の提言もあってもいいだろうと思います。それでこそ行政と県民とのパートナーシップが形成されるものでありますが、これら取り組みについての知事の御所見をお伺いいたします。 このように述べてまいりますと、いいことずくめのNPO法人ということになります。しかし、今は情報公開の時代であります。NPOといえども、その説明責任は問われます。政治にかかわる者には選挙というチェック機能があります。あるいは経済界には市場競争という機能が働きます。NPOにはそれに値する軌道修正の場がないと言われます。ですから、NPO立ち上げのときから、その説明責任はついて回るものと考えたいのであります。そのためには、NPOについて、その機能等について評価するシステムがあってよいのではないかと考えます。慈善事業や奉仕活動に取り組むがゆえに聖域としてとらえてはならないと思います。時には、NPO間で、あるいは行政や類似する企業との間で競争するシステムづくりもあってよろしいかと考えますが、これらに関する知事の御所見についてお伺いいたします。 調査研究チームの提案には、NPOの普及啓発施策の中で、県民が選ぶ「あきたNPO大賞」の創設があります。県民が選ぶとはいえ、ある一定の評価基準が用意されていなければならないと思います。そのためには、その評価手法に基本的なものがなければならないと考えます。まず、立ち上げられる個々のNPOは、組織として取り組む使命を明確にし、定義づける必要があります。 二点目は、顧客のとらえ方であります。ここではNPOが提供するサービスを受ける方に限らず、寄附金や労力を提供しNPOを支える方、そしてそのNPOを取り仕切る理事や職員も顧客としてとらえていなければならないというのであります。この三種類の顧客が、お互い顧客としての意識を持ち、常に満足できるような環境下に置かれていなければならないと思います。 三点目として、NPOが提供するサービスが価値あるものとして歓迎されているかであります。NPOも広い意味でのサービス業であります。ならばサービスの受け手である顧客が何を価値あるものとして考えているか知らなければ、よいサービスを提供することはできないことになります。 四点目として、NPOが取り組んできた事業成果はどうであったかであります。企業であれば、どの程度の利益を上げたかによって、その成果のほどが明確に目に映ります。NPOの成果は、企業のこれとは違い計測が難しく、その成果や業績ははかりにくいとも言われます。しかし、この分野については、各地方自治体が取り組んでいる事務事業評価等に値するものであり、その評価の結果が次の取り組みに生かされていけば、その評価は明確なものとなります。 五点目として、総括的な計画の立て方が大事であります。それぞれのNPOが持つ資源は限られたものであります。限られた資源が有効に発揮される計画を立てるべきであります。 このようにして、ある一定の指標を示す専門家の手法もありますが、ここに秋田県版NPO評価基準も整えておくのもよろしいかと考えますが、知事の御所見についてお伺いいたします。 次に、NPOの発想のもとで、秋田県がかかわりの持つ第三セクターについても考えてみたいと思います。その一例として、経営が危ぶまれている内陸縦貫鉄道や由利高原鉄道について、NPO法人化のもと、その活力を取り戻すような研究、取り組みがあってもよろしいかと考えますが、知事の見解についてお伺いいたします。 次は、産業廃棄物対策について質問いたします。この先、平成十三年四月より、産業廃棄物の処理対策について新たに排出者責任の強化があります。さらには平成十四年十二月から、焼却施設に係る新基準が適用されます。まず、今度の改正により、廃棄物処理業者の不適正処理に関して、処理を委託した排出者も一定の要件のもとに措置命令の対象とされることとなっています。処理業者の処理状況を十分掌握していなければ、適正に処理委託したつもりでも、ある日突然措置を命じられることにもなりかねない、排出者にとりましては極めて不安な要素がふえることになります。もちろん、これらに関する内容等について、県はそれぞれの関係業者へ説明はなさっているとは存じますが、その状況についてお伺いいたします。 これまでの経緯からして、ほとんどの排出者は、県民は個々の廃棄物処理業者等の経営の内容まではわかっておりません。これからは、廃棄物処理業者の実績等について公表しながら、排出者の不安解消のため努めるべきであります。あるいはまた、この業界にかかわる代執行などを未然に防ぐためにも、県は真剣に取り組む必要があると考えますが、知事の御所見についてお伺いいたします。 例えば、この機会に廃棄物処理業者の実績について、過去五ないし十年間の実績等について、そのデータを公表する。あるいはそのデータ等に基づいて、それぞれの業者の実績を評価する。さらにはその評価については評価基準をつくるなどして対応してしかるべきでありますが、これらに関する知事の御見解についてお伺いいたします。 次に、焼却施設にかかわる新基準の適用であります。排出されるダイオキシン類濃度については、現在適用の暫定基準値の八分の一以下にするという新基準であります。そのために焼却炉についても新たな基準が示されています。焼却炉の構造に関するものであり、多額の設備費が必要とされています。今、これらに関する施設は、県内六十九施設ほどあると伺っていますが、その中でこれらの新基準に対応できるのは四施設のみと言われています。残る六十五の施設について、この先、新基準に対応できるのかどうか、その見通しについてお伺いいたします。もしできないとしたら、今どのような策を考えているのか、あわせてお伺いいたします。 特に、今経営の厳しい林業関係業者に対しての救済策が必要であります。または、林業関係業者等にかかわらず、業種ごとの対応、あるいは地域ごと、ブロックごとの対応もあってしかるべきと考えますが、これらに関する知事の見解についてお伺いいたします。 次は、工業団地対策と技術立県について質問いたします。平成元年一月に進出表明した大王製紙、平成七年操業開始がその約束でありました。その後、三回に及ぶ延期により八年延期されてまいりました。しかし、今、それが全く見通しが立たなくなりました。私はここで大王製紙問題は別として、この先の問題について質問いたします。 大王製紙のために準備した土地については、関連する問題が解決するまでは手がつけられないと考えられます。しかし、第二工業用水としてのパイプラインは全長の約四割ができています。今、これに関する事業については休止したと聞いております。今後の対応を早急に立てなければならないと考えますが、知事の御所見についてお伺いいたします。 また、その可能性は難しいことだろうが、これら水利権の転用、活用も検討課題として扱うべきと考えますが、あわせてお伺いいたします。 小畑知事時代から掲げられてきた秋田湾開発であります。それだけに簡単にあきらめ切れるものではない、これが大方の県民感情でもあります。大王製紙に用意した以外の用地、飯島工業団地や秋田北港背後工業団地の活用を図るべきであります。例えば、秋田県が開発したもみ殻から抽出できるキシロオリゴ糖の製造工場の立ち上げ、あるいは日本海側にはビール工場がありません。北陸地方にあるだけであります。ビール製造の原料となるホップの生産高も秋田県が堅持しています。農業県として、この際、日本の食料基地として、食品産業開発も視野に入れて大きく引き出してみるのもこの機会かと考えますが、知事の御所見についてお伺いいたします。 一方、秋田湾開発に限らず、県内にある工業団地の充実も期してまいらねばなりません。これまで、技術立県として数々の試験研究機関を整備してまいりました秋田県です。これら研究機関から出されていた特許出願件数は少なからずあります。今どのようになっているか、その実態をお伺いいたします。 これらに関しては、評価制度を導入するとも聞きますが、要は、これら試験研究機関から開発された技術等を生かした県内産業基盤の強化を図ることが重要であります。評価制度というチェック機能の活用もわかりますが、研究機関には息の長い継続した研究が必要であります。評価制度本位に走る余り、技術立県の阻害にならぬよう配慮していただきたいと考えます。 次に、国際系大学について質問いたします。国際系大学設置推進事業費として約六千三百万円が計上されております。四月十五日選任された知事が、もしこの事業費について見直しの必要があるとした場合、この予算は不用額となりかねません。今ここに計上されたのは、四月一日から予算執行しなければならない、それだけせっぱ詰まった何があるのかお伺いいたします。 これは、議会の総意として立ち上げていた意見書に基づき、水田農業経営強化対策として計上されたものとは大きく意を異にするものであります。どんなに急がなければならないものにしても、四月十五日以降、当選した知事が臨時議会を招集し、計上すべきが本筋であろうかと考えますが、重ねて知事の考え方についてお伺いいたします。 国際系大学の必要性、一々ごもっともなお話であります。国際化の時代への対応だ、県内高校生が望んでいる大学だ、秋田県に文科系の大学が足りない等々、教育の機関拡充策としてはまさに正論でありましょう。しかし、大学も経営であります。将来の経営の安定策を考えてみた場合、心配の種がふえるばかりであります。経営至上主義で考えますと、大学経営がもつのかもたないのか、やはり考えます。これまた正論であります。正論と正論のぶつかり合いであります。このようなときこそ、首長の判断がいかに大事であるかであります。十年先、いや五十年先、百年先の教育環境、秋田県の状況を考えての判断になります。今、折しも国立大学の行政法人化が提起されています。あるいはアメリカにあっては、大学経営そのものについてNPO感覚を導入しなければならないという考え方もあります。これらの考え方は必ずしも経営至上主義でないにしても、大学経営の効率化をねらうものであることには間違いありません。 御存じのとおり、新潟県中条町には、南イリノイ大学新潟校があります。この学校も経営難にあえいできたところであり、累積赤字が約七億円あると聞きます。しかし、平成八年から、学校経営に直接携わる人を変えています。それまでは中条町が主体的に経営していたが、平成八年より新潟総合学園という手広く教育事業を営むところから二名の理事を招き、その経営主体を移しております。以来、少しずつその経営が改善され、三年前からはハイスクールも併設して、その一期生がこの春卒業すると言われます。その経営を一手に引き受けた常務理事にお聞きしましたが、今さら県立やほかに移管しようなどという気持ちは一〇〇%ないというのであります。むしろ、今ある体制のままで、文部省認可の方向へ向けて取り組みたいという意欲に燃え、その取り組み姿勢に自信をみなぎらせていたのがいかにも対照的に映ります。要は、その経営手法、経営手腕にあるわけで、教育事業の特殊牲、学校経営は専門家にまさるものはないと考えさせられた次第であります。 これらのことを総合的に考えてみた場合、教育事業、特にこの種の単科大学としての扱いは、学校経営の専門家を招聘紹介して、いま一度経営母体の雄和町を指導すべきが秋田県の果たす役割だと考えますが、寺田知事の御所見についてお伺いいたします。 次は、教科書選定について質問いたします。ここでは、義務教育における歴史教科書、公民教科書の選定について質問します。 次代を担う子供たち、二十一世紀初頭に大きく羽ばたく日本人としての誇りと自信を持って育っていただくためにも、その教育のあり方が重要であります。その中で、特に歴史教科書や公民の教科書の内容が極めて大事であります。これまでも各地域でいろいろな問題が発生しております。国旗・国歌「君が代」問題、過去に日本がかかわってきた戦争史観、例えば日清・日露の戦争、第一次・第二次大戦、これらに関していろいろな戦争史観のあることも確かであります。しかし、どんなことがあろうとも、日本国民としての自虐史観などあってはならないのであります。今、中学校社会の教科書出版社は七社あると聞きます。すべて文部省の検定を経たものだから、いずれも適切な教科書という考え方もありましょう。しかし、中には教科書の解釈のしようによっては、日本の国が嫌になってしまうおそれの部分もなきにしもあらずであります。これらのことを避けるためには、教科書選定のあり方が極めて重要であります。基本的には、その選定は、それぞれの市町村教育委員会が主体性を持ちながら選定することとなっています。しかし、実際には県内九ブロックに分かれて採択地区協議会が設置されて、その選定作業を行っていると聞きます。そして、各協議会には調査員がおります。調査員として実際にその教科書を手にして、見ながら選定してくれているのは現場の先生であると聞きます。現場の先生が調査研究することは、それなりの決まりがあって進められてきたところと聞きます。しかし、その制度、仕組みも何年間も続いてきた中で、何か弊害が生まれてきているのではないかと考えられますが、その実態についてお伺いいたします。 その選定過程で、実際に教科書を手にとって選定する調査員の名簿を公表して、県民の理解を深めるべきと考えます。なお、この件については、私がこの質問書を通告した後、公開審査会より公表することが妥当との判断が下されたとの新聞報道がありましたが、教育委員会の今後の取り組み姿勢について確認したいと思います。これまで進められてきた教科書選定の手法に少しでも不都合なものがあるとしたならば、それぞれの教育委員会が主体性を持ち、実際に教育委員が教科書を手にして選定すべきと考えます。教育委員会の一番大事な仕事は、子供たちの教科書を選ぶことに尽きると思いますが、いかがなものかお伺いいたします。 次は、県立美術館について質問いたします。総合計画に、県民はどこにあってもひとしく行政サービスを受けることができるとあります。教育であれ、福祉であれ、すべての分野に求められるものであります。しかし、まだまだ「ひとしく」という言葉にはほど遠いものが見受けられます。その一つに県立美術館があります。秋田市周辺や県南部にあっては、それぞれ立派な美術館があり、その恩恵に浴するものがあります。しかし、県北部にあっては、大きくおくれをとるものがあります。この不均衡の是正は急がねばなりません。書画、骨とうを初め、刀剣類などは、秋田県が確認するものだけでも、県北部に数多くあります。あるいは確認できないでいる、民家の蔵等に眠るものも、これまた確認されている以上の点数に至るものがあるのではないかとも言われています。例えば、大館市にあった県立高校を改造した大館郷土博物館があります。ここは埋蔵文化財の倉庫がわりにもなっています。あるいはまた、五百点を超える絵画が収納されています。これら収集の実態を見た場合、早い時期での県北部への県立美術館の建設が急がれます。 なおまた、それぞれの地域には無形民俗文化財となる各種の芸能保存会があります。これら先人の残した文化財は、定期的なお披露目もまた大事な仕事であり、これらに類する伝承館も必要であります。これらのことを総合的に判断し、県北部への多目的にも活用できる美術館の早期建設計画を立てるべきと考えますが、その見通しはいかにあるかお伺いいたします。 最後に、ワールドゲームズについて質問いたします。第六回ワールドゲームズ開催事業費として約九億六千万の計上があります。秋田県が世界に向けて発信する一大イベントであります。この事業を推進することにより、関係する市町村に限らず、県内全体ににぎわいと活力を呼び込む絶好の機会であります。去る二月十五日から発売された競技チケットは、一部競技では売り切れた席もあると聞きます。また、当初懸念されていた民間からの寄附金も順調に進んでいると聞きます。多少の出費はかさむかもしれないが、時には思い切った取り組みもまた必要かと考えます。秋田県の持つ文化の紹介や観光情報も提供しようとする取り組みは、まさに時宜を得たものであり、その効果に期待するものであります。 そこで、ここは質問というよりは提案でございます。折しも二十一世紀の幕あけであります。二十一世紀初頭に羽ばたく小・中学生の対応も大事であります。多くの小・中学生に、秋田県が開催するワールドゲームズを、世界の一大イベントとしてその感激と感動を印象づけてまいりたいと考えます。そのためには、全国から多くの小・中学生にも秋田県に来ていただきたいのであります。秋田県に限らず、来場する小・中学生には、無料パスなど考えて対応してしかるべきと考えます。このことを提案申し上げまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(中泉松之助君) 県当局の答弁を求めます。     [知事(寺田典城君)登壇] ◎知事(寺田典城君) 菅原議員の御質問にお答えいたします。 最初の県債の活用等についてでありますが、本県では、これまで県債の発行により投資事業の財政負担を平準化するとともに、受益を享受する後世代にも一定の負担を求めながら、社会資本の整備に取り組んでまいりました。特に、高速交通網の整備、福祉施設や地域活性化のための拠点施設整備などに、制度上有利な県債を活用し、重点的な事業の推進に努めてまいりました。今後もあきた21総合計画に基づき、高速交通網や情報通信ネットワークなど、県勢発展の礎となる基盤の整備を初め、教育施設や道路、下水道など、県民生活に密着した、真に必要な社会基盤の整備について、県債を活用しながら積極的に推進してまいりたいと考えております。 しかしながら、県債発行に伴い、後年度の償還額が増大し、結果として政策的な経費に振り向ける財源が圧迫される要因にもつながることから、起債制限比率や経常収支比率などの指標に留意し、中・長期的な財政状況を見通しながら、計画的な県債発行に努めていく必要があるものと考えております。このため、行政改革大綱においても、県債の元金償還と新規発行のバランスを図る観点から県債の新規発行については、予算総額の一〇%以内に抑制することとしており、今後ともこうした方針を踏まえながら、あきた21総合計画に掲げた重点事業の計画的な実施に努めてまいりたいと考えております。 二点目のNPOと行政についてでありますが、初めに、ゆとり生活創造センターについては、当初の構想に基づく、余暇を楽しむための施設としての機能に加え、NPO法の施行による県民のボランティア・NPO活動に対する関心の高まりに対応するため、その活動拠点としての機能を充実するとともに、木造建築のよさを広く認識してもらい、県産材の利用促進を図るため、鉄骨・鉄筋コンクリートづくりを木造に変更したところであります。このため十五カ月の木材乾燥期間が必要となったことなどから、平成十四年度の完成予定となったものであります。 次に、NPO活動の現状と取り組みについてでありますが、NPO法人の活動については、NPO法で十二分野に限定的に列挙されておりますが、それぞれの活動内容が具体的に示されておらず、運用については福祉分野、スポーツ振興、ごみ環境など広く解釈すべきであるとされておりますので、ほとんどの社会公益活動が該当するものと考えております。 また、調査研究報告書の活用についてでありますが、提言の内容は十分に検討の上、本年度はボランティア・NPO交流サロンの開設やコーディネーターの養成、インターネット講習会の開催など、可能なものから順次実施しているところであります。 次に、普及啓発のための取り組みについてでありますが、二〇〇一年はボランティア国際年に当たることから、第四回秋田県ボランティアフェスティバルの開催とあわせ、ボランティアの気運を高めるためのセミナー、国際的なボランティア活動について学ぶための記念講演、青少年のボランティア活動を推進するための高校生によるボランティア討論会等を開催することとしております。平成十七年に開催される全国ボランティアフェスティバルについては、県社会福祉協議会など関係団体と協議しながら、本県への誘致を働きかけてまいります。また、これらの事業の推進に当たっては、県内市町村や各団体等とも連携しながら進めてまいります。 次に、職員のボランティア休暇についてでありますが、休暇の対象は、災害の救援活動や身体障害者福祉施設等での活動に限定され、必ずしもNPOの行うさまざまな活動に対応しているとは言えません。今後は、ボランティア休暇のあり方も含め、引き続き職員の参加しやすい環境づくりに配慮してまいりたいと考えております。 職員の研修については、東北自治研修所で行われたNPOに関する研修会に職員を派遣したり、県主催で行ったフォーラムや各種講座に職員を出席させたところですが、今後ともこのような機会を積極的に活用するなどして、職員のNPOに対する理解を深めたいと考えております。 次に、意識啓発の計画的な推進についてでありますが、一般市民を対象としたNPO法人制度説明会やNPOの基礎講座、経営講座、フォーラムなどを開催したり、社会奉仕活動を通じて青少年の社会参加を進めるために、ユースアクションセミナーや高校生のボランティア活動体験事業を行っております。今後も、生涯学習センターなどで行われております各種ボランティア講座と連携を図りながら進めてまいります。 また、NPOガイドブックについては、これまで県民、職員を問わず活用できるボランティア活動ガイドブックやNPO法人制度の手引、各種のパンフレットを作成し、会議、フォーラム等で配布し、意識啓発に努めてきたところであります。 次に、行政の支援策についてでありますが、税制面では、NPO法人について、県独自で法人県民税の減免措置を講じているほか、今国会において、所得税、法人税の寄附金控除や損金算入枠の拡充が提案され、一定の前進が期待されているところでありますが、今後も税制上の優遇措置については、引き続き要望してまいります。 また、ボランティア・NPO活動に対するその他の支援策としては、ボランティア資金の平成十三年度からの助成枠の拡充や、各種活動に対する助成限度額を大幅に引き上げるなど、一層の充実を図ってまいります。 また、NPO法人に対する事業の委託については、法人の力量や体質の強化、活動領域の拡大のため、その必要性を認識しておりますので、御指摘の事業評価や政策提言を含め、受け皿となる法人の実態や活動実績を踏まえながら取り組んでまいります。 次に、NPO評価システムについてでありますが、NPOがその期待される役割を十二分に発揮するためには、NPO自身が常に自己点検することはもとより、住民がそれぞれの視点で外部から評価することがNPOの健全な発展にとって必要なことと考えております。このためNPO法では、法人の情報公開が義務づけられており、受益者である住民自身がこの制度を活用しながら、NPOを評価していくべきものと考えます。NPOの機能等について評価するシステムや、NPO間、あるいは企業、行政と競争するシステムの必要性、NPO大賞の創設やそれに伴う評価基準などについては、将来の研究課題としてまいりたいと考えております。 次に、第三セクターへのかかわりについてでありますが、第三セクターが行う事業は、その目的、形態により、公共性、効率性、収益性の兼ね合いが異なることから、NPO方式が有効かどうかはケース・バイ・ケースと考えておりますので、今後、住民の主体的、継続的活動が期待できるものなどについては、NPO法人の積極的な活用を検討してまいりたいと思います。 三点目の産業廃棄物対策についてでありますが、初めに、排出者責任の強化については、全国初とも言われる能代産業廃棄物処理センターの経験を踏まえて国に要望してきた事項の一つでありますが、昨年六月の廃棄物処理法改正により、排出事業者にとっての適正処理に対する責任は、極めて重いものとなっております。県ではこれまで、制度強化の内容について、三千余の排出事業者に個別に通知するとともに、業界団体の研修会等を通じて周知を図ってきたところであります。しかしながら、排出事業者の範囲は極めて広いことから、パンフレットや各種広報誌などの活用により、今後とも一層の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。 産業廃棄物を適正に処理するためには、排出事業者は処理業者の状況を十分に把握する必要があることから、国ではインターネットを利用して廃棄物処理業者の許可や経営に関する情報を掲載したシステムの構築を進めているところであります。県としても、このシステムを通じて、積極的に企業情報を開示するよう処理業者を指導するとともに、排出事業者に対し処理を委託する際に活用するよう働きかけてまいります。 次に、焼却施設に係る新基準の適用についてでありますが、ダイオキシン類の濃度に関する基準については、八割以上の施設が適合している状況にありますが、施設の構造に関する基準については、現段階でほとんどの施設が適合しておらず、新基準の適用までに、高度な機能を有する排ガス処理施設を整備するなどの設備改善を求められております。こうした構造基準に適合するための改善費用は少なくとも数千万円と見込まれ、設置者は改善か廃止かの厳しい選択を迫られている状況にあります。県としては、設備改善に取り組む企業に対して技術指導などを行っており、必要に応じて公害防止設備資金やその他の制度資金の活用についても助言しているところであります。もとより、木材や廃プラスチックなどは再生可能な資源であり、原材料やエネルギーなどに有効に活用することが循環型社会における重要な手法であります。平成十三年度に能代地域で計画されているバイオマス発電はこうした取り組みの一つであり、今後は、他の地域においても業界や研究機関と連携しながら有効利用を促進してまいりたいと思います。 四点目の秋田湾周辺の産業振興等についてでありますが、初めに、秋田第二工業用水道については、工業用水については、基本的には臨海部における企業誘致を進めるための貴重な資産であると認識しております。しかしながら、二十万トンの受水を予定していた大王製紙の進出問題をめぐって、現在三者協議を行っているところであり、秋田第二工業用水道の供給の目途が立たないことにより、事業の休止を余儀なくされております。今後、三者協議において、大王製紙が進出しないことが最終的に確認された場合には、これにかわる新たな用途、活用方策について、規模の縮小も視野に入れつつ検討することとし、あわせて工業用水以外への転用・活用の可能性についても検討してまいりたいと考えております。 次に、秋田湾周辺の産業振興についてでありますが、秋田湾周辺は、秋田港や高速道路など交通基盤の整備により利便性が向上し、物流拠点、環日本海交流の拠点として重要な役割を担うことが期待されている地域であります。秋田湾周辺の産業につきましては、このような地域の特徴を生かすとともに、時代の趨勢、経済情勢を見きわめながら、飯島工業団地や秋田北港背後工業団地を中心に一層の産業集積を図ってまいります。 なお、御指摘の食品産業につきましても、総合食品研究所の研究成果をもとにした秋田ならではの新商品の開発や企業の誘致を図るとともに、マーケティング活動等を強化・支援するシステムを整備しながら、企業等の主体的、積極的な事業展開を促し内発的な振興を図るなど、農業県として食品産業振興も視野に入れた企業立地の促進に努めてまいります。 次に、特許出願と研究評価制度についてでありますが、特許につきましては、これまで八十三件の出願を行っており、このうち十八件の特許権を取得しております。これらの成果につきましては、共同研究や技術指導により積極的な普及に努めており、稲作の省力・低コスト化を目指した直播機構の開発や、ジュンサイの凍結貯蔵法の開発など、新技術、新製品の開発に結びついているところであります。 また、研究評価制度は、県費を投じた研究開発が産業の活性化や県民生活の向上に資するよう適切に行われているかどうかを判断し、評価結果を公開することで県民に対する説明責任を果たすことを目的とするとともに、その結果を予算等へ反映することで、研究開発の重点化や研究者の意欲の向上など、研究開発の活性化と効率化を図ろうとするものであります。今後、試験研究機関の設置目的や業務内容に応じた適切な評価を行い、産業基盤の強化や県民生活の向上に結びつく、すぐれた研究開発が推進されるよう努めてまいります。 五点目の国際系大学についてでありますが、この国際系大学を特色づける最大の要素は、ミネソタ州立大学機構との連携にあります。これまでミネソタ州立大学秋田校が築き上げてきた実績と、その間に培われてきた信頼関係のもとに、同機構との共通目標である二〇〇三年四月の開学を目指して取り組んでまいりました。また、ミネソタ州立大学秋田校は、二〇〇三年三月までに閉校することが既に決まっており、同校の有形無形の財産を最も効果的に活用できることに加え、同機構との連携による大学の創設を高く評価し、大学改革に先進的に取り組んでいる大学関係者から、支援、協力を惜しまないと言っていただいている今が最も適当な時期であると考えております。二〇〇三年四月に開学するには、二〇〇二年四月に大学設置認可申請を行う必要があり、新年度早々には、大学運営の根幹をなすカリキュラムや教員募集、さらには管理運営体制や施設整備等のあり方など必要な事項を検討する創設準備委員会を立ち上げ、具体的な取り組みに着手しなければ開学が困難になります。県内経済界や教育関係者など諸団体や県民からは、国際系大学の早期実現を求める強い声をいただいており、この機会を逃すことで、その要望にこたえられなければ、県民にとって大きな損失になると考えております。このような認識のもとに、ぎりぎりの判断として国際系大学関連予算を提出させていただいたものでありますので、何とぞ御理解賜りますようお願い申し上げます。 また、ミネソタ州立大学秋田校に関して、学校経営の専門家を招聘すべきであるとの御意見につきましては、当事者である学校法人秋田国際アカデミーとミネソタ州立大学機構との間で、既に二〇〇三年三月までに閉校することが決まっておりますので、県が現在の秋田校について改めてかかわるべき問題ではないと認識しております。 七点目の県立美術館についてでありますが、議員御指摘のように、本県独自の風土の中で培われてきた芸術文化を県民ひとしく享受することは、極めて重要なことと考えております。県といたしましては、こうしたことを踏まえて、これまで、本県の伝統芸能の保存、継承を目的とした民俗芸能大会や、現代作家の育成を図る秋田現代美術展を県内各地で開催してまいりました。一方、本県にゆかりの深い美術品や工芸品については、県立近代美術館や県立博物館を中心に収集・展示してまいりました。しかしながら、これらの作品の県北地区、中央地区での展示の要望も強く、十三年度からは、定期的に移動展を開催できるよう予算計上しているところであります。その皮切りとして、本年九月、大館市において秋田蘭画等の日本を代表する名品や、県北出身の画家によるすぐれた作品を展示することにより、県北の方々にも美術品に親しんでいただきたいと考えております。今後、移動展の開催を通して、県民の美術品鑑賞の機会を拡充しながら、本県全体の文化行政及び文化施設のあり方についても検討してまいります。 八点目の子供たちのワールドゲームズ体験についてでありますが、ワールドゲームズは、二十一世紀の秋田を背負って立つ子供たちに夢を与え、世界を身近なものに感じてもらう絶好の機会になるものと考えております。世界のトップクラスの選手のわざが間近に見られ、スポーツの感動とすばらしさを多くの県民に与えてくれるものと思いますが、特に子供たちにとっては、観戦や選手たちとの交流を通じて国際的視野を広めるなど、貴重な体験をすることが期待できますので、できる限り多数の小・中学生が観戦・参加しやすいよう配慮してまいりたいと思います。     [教育長(小野寺清君)登壇] ◎教育長(小野寺清君) 菅原議員から御質問のありました教科書選定についてお答えいたします。 小・中学校の児童生徒が使用する教科書は、教科書に係る無償措置法により、採択地区を設け、その地区内の市町村教育委員会が共同して設置した地区調査研究委員会や地区選定委員会、採択地区協議会を経て採択することとなっております。本県では、九採択地区を設け、各採択地区には、県の教科用図書選定審議会が示した採択要領や採択基準に基づいて、教科書採択に当たっていただいております。また、その際、県の教科用図書選定審議会から委嘱された県教科用図書調査研究員が調査した調査研究報告書を各採択地区に送付し、採択資料の一つとして活用していただいております。 御質問の一点目についてでありますが、本県の採択地区における調査研究に関しては、教員のほか、地区によっては市町村教育委員会の教育長や教育委員長などが調査研究に携わっております。採択地区における教科書採択については、地区の調査研究委員会の意見を踏まえ、地区選定委員会や採択地区協議会でチェックがなされ、採択されております。現在、歴史教科書は七社中二社、公民教科書は七社中三社が採用され、これまで公正確保が図られ、滞りなく採択事務が進められてきたものと判断しております。 二点目の採択に関係する調査員名の公表についてでありますが、県では採択事務終了後、調査研究報告書や調査研究員の氏名等を公開することとしており、また、選定審議会委員を公募するなど、教科書の開かれた採択に取り組んでおります。市町村教育委員会においても、調査員名等については、それぞれの情報公開条例に基づいて判断し、対応すべきものと考えております。 三点目の教科書採択に関する市町村教育委員会の役割は、議員御指摘のとおり大事な仕事の一つであり、地域の子供にふさわしい教科書を採択すべきものと思います。県といたしましては、国の動向や市町村教育委員会の主体性を踏まえつつ、これからも総合的な見地から教科書が採択され、一層の公正確保が図られるよう、指導等に努めてまいります。 以上であります。 ○副議長(中泉松之助君) 三十六番菅原君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。 △午前十一時三分休憩 --------------------------------------- △午前十一時十六分再開    出席議員    四十三名      一番  加成義臣      二番  安藤 豊      三番  土谷勝悦      四番  菅原龍典      六番  工藤任国      七番  栗林次美      八番  大関 衛      九番  川口 一      十番  安杖正義     十一番  宮腰 誠     十二番  樽川 隆     十三番  平沢健治     十四番  小番宜一     十五番  村上 薫     十六番  小田美恵子    十七番  武田英文     十八番  金谷信栄     十九番  鶴田有司     二十番  冨樫博之    二十二番  穂積 志    二十三番  小田嶋伝一   二十四番  野原多津美    二十五番  原 盛一    二十六番  大野忠右エ門    二十七番  木村友勝    二十八番  加藤義康    二十九番  佐藤健一郎   三十一番  佐々木長秀    三十二番  伊藤万治郎   三十三番  長谷部 誠    三十四番  能登祐一    三十五番  鈴木洋一    三十六番  菅原 昇    三十七番  大里祐一    三十八番  工藤嘉左衛門  三十九番  津谷永光     四十番  北林康司    四十一番  児玉 孝    四十二番  山田靖男    四十三番  佐藤次男    四十五番  辻 久男    四十六番  高久正吉    四十八番  北林照助---------------------------------------     地方自治法第百二十一条による出席者          休憩前に同じ--------------------------------------- ○議長(安杖正義君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第一、一般質問を継続いたします。四番菅原龍典君の一般質問を許可することにして御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり] ○議長(安杖正義君) 御異議ないものと認めます。四番菅原君の発言を許します。     [四番(菅原龍典君)登壇](拍手) ◆四番(菅原龍典君) おはようございます。県民クラブの菅原龍典であります。 県議会初当選以来、間もなく折り返し、二回目の一般質問となります。機会を与えていただいた同僚及び諸先輩に心から敬意を表するものであります。また、知事におかれましては、通告に従い検討をいただいておりますので、簡潔に、しかも実のある答弁を求めるものであります。 今、国会では、またぞろKSDの政界工作や外務省の機密費流用疑惑が議論されておりますが、これこそ政・官・財の癒着構造そのものであり、政治家が国民のことは顧みず、自分の私利私欲で国民の税金を使う、まさに〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇と言われても過言ではない不祥事、まずはその事実の解明を一日も早く求めるものであります。 政治に携わる者の一番大切なことは、自分が選挙のとき県民に何を約束したのか、それをどう実践してきたのか、このことが大切であると考えます。私は、公約にこう掲げました。一つ、政治に夢と希望、ロマンが欲しい。一つ、政治でありますから、人が、人間が大切にされる政治でなければいけない。そしていま一つは、この二十一世紀は--後ほども触れますが--地球の環境問題を避けて通るわけにはいかない。すなわち自然が大切にされる政治でなければいけない。以上の三点を基本に、具体的には、地方分権、お年寄りや子供、そして障害者も安心して暮らせる福祉社会の実現、農林商工業の振興、男女共同参画の実現、教育条件の整備等であります。以下すべてではありませんが、この公約をもとに質問をしてまいります。 まず初めに、今定例会最大の政策課題となりました国際系大学の早期実現に向けてでありますが、昨年の十二月定例会の最終日に、初めて多数決により特別委員会の設置が決まりました。この特別委員会に付託された案件は、県立大学、国際系大学及び看護・福祉系大学等、秋田県の高等教育に関することであります。 しかし、県立大学については、十分な議論を重ね、平成十一年に既に開校しており、改めて議論の必要はありません。また、看護・福祉系大学は、今、県の調査検討委員会が検討中であり、果たして特別委員会が必要なのか疑問があります。 そこで、国際系大学については、既に調査検討委員会において県の高等教育の現状を分析するとともに、二十一世紀においても生き残れる特色のある大学として、平成十五年四月の開学を目標とする基本構想案もでき、改めて特別委員会で議論すべき問題ではありません。ちなみに、高等教育のあり方については、平成十一年九月の国際系大学の話があった以前の平成十年十一月に高等教育推進懇談会が設置され、平成十二年三月には報告書ができております。それを、まだ県の高等教育のあり方に関する議論が必要だとの主張が私には理解できないのです。 これまでの特別委員会は、日程協議も含め五回開かれたようですが、その議論の中身は、これまで私ども総務企画委員会でその都度議論してきた、主にミネソタ州立大学秋田校同様、定員割れは大丈夫なのか、県の財政負担はどの程度か、開学の時期は等々、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇。加えて当局案が拙速過ぎるとの意見もあるようですが、それでは私どもが一年三カ月も総務企画委員会で議論してきたのは一体何だったのでしょうか。 私は、国際系大学については、国際化やグローバル化など、今後ますますその傾向が深まることが予想される中で、実現されなければいけない緊急な政策課題であると思っております。それは、この大学構想の特色であるミネソタ州立大学機構との連携があり、なおかつ東西交流型教育システムへの評価があってのことでもあります。こうした観点に立てば、秋田校の実績を最大限活用するためには、平成十五年四月の開学は極めて実利的な判断と思います。逆に、これを逃し、相手から秋田県は信用できないと思われ、取りやめになったらどうなるのか。それこそ大変であります。今世紀は、政治的、経済的にも、日本を超えて、アメリカと中国を両極とする新たな展開も予想されます。本県において多くの期待を集める環日本海地域との交流も、こうした舞台に直結するものであります。また、懸案でありました秋田--ソウル間の国際定期航空路開設が決まり、秋田の国際化に大きく貢献することになります。これらも活用した国際化社会を担う人材の育成こそが、知事、あなたに課せられた最大の政治課題であると思いますが、改めて実現に向けた知事の御所見をお伺いするものであります。 次に、福祉行政推進についてであります。主に障害者福祉についてお尋ねいたします。私は常にこう訴えております。だれも好きこのんで障害者にはなりたくない。不幸にして障害者になったとしても、生きる権利は当然あります。昔の人の平均寿命は四十歳か五十歳。今は長寿社会、男性七十七歳、女性八十四歳。生身の体、これくらい使えばがたがくるのが当たり前であり、だれもが障害者になり得る時代であります。したがって、お年寄りや障害者が住めるまちづくりこそが真の意味でのまちづくりであり、障害者は健常者の水先案内人であるという言葉が御理解いただけると思います。 あわせて昨今の世相、昨年の暮れからことしにかけて、果たしてこれが人間社会かと思われるような異常な事件が多発しております。子供たちがタクシーに乗り、わずかの金欲しさに運転手を殺害、一家四人の惨殺、他人の子供を連れ去る、成人式での暴挙、看護士による注射事件などなど、教育の荒廃なのか、あるいは物と快楽を求め過ぎ人間性が欠如したのか。正常な世の中になってほしい、私はこう願っております。 「五体不満足」の乙武さんの本にこうあります。「助け合いの出来る社会が崩壊したといわれて久しい。「血の通った」社会を再び構築し得る救世主となるのはもしかすると障害者なのかも知れない」と。福祉という言葉の意味でありますが、福祉の「福」はまさに幸せ、幸福であり、福祉の「祉」は天の下す神が身にとどまることであると言われております。秋田県民の福祉の向上を目指す、知事、あなたの福祉についての基本的な考え方をお伺いいたします。 次に、具体的な問題、いわゆる交通バリアフリー法の関連についてであります。 その前に、今議会の予算案に、県議会棟にもエレベーターの設置に要する予算を計上されたことに感謝を申し上げます。ありがとうございます。 昨年の十一月十五日に施行された同法律は、御承知のように、これからはすべての交通事業者に対し、駅や空港を新設または大規模改修する場合、エスカレーター、エレベーター、身体障害者用トイレ、警告誘導ブロックなどの設置を義務づけしているし、新たな車両を導入する場合、鉄道では車いす用のスペースの確保、バスでは低床ノンステップ化を義務づけし、また、既存の施設は、それぞれ改良工事を義務としております。もちろん歩道等の段差解消は自治体の責任であります。そこで県でも、あきた21総合計画に基づき、先ごろ第一回人にやさしいまちづくり検討委員会を開き、条例制定に動き出したようですが、検討委員会の今後の進め方と条例の制定はいつごろになるのか、お伺いいたします。 次に、解決されなければいけない問題はたくさんありますが、幾つかを申し上げます。一つは住宅の問題です。バリアフリーの住宅の整備を、官民問わず強化していただきたい。次に交通の問題です。車いす生活者が一番不便で困っていることは、移動手段が極めて少ないということであります。それでも秋田市周辺では、一部NPOや学生のボランティアで対処しておるようですが、それでも十分でなく、各市町村ではタクシー券の交付や移送サービスで対応しております。さらには情報の問題です。視覚・聴覚それぞれの障害者は、情報に飢えております。手話、点字、ビデオ、朗読ボランティア等々がいまだ十分とは言えない状況にあります。そして、心の問題です。実は残念なことに、まだ障害者が世間から白い目で見られる傾向にあります。この心のバリアを取り除く、これが極めて大切であります。今ここに、平成十二年度社会福祉法人日本身体障害者団体連合会が政府に要望した日身連要望事項の回答文書があります。中身は、私、なかなか理解できない点もありますが、この資料、県ではもちろん検討委員会で当然議論されていると思いますが、どのような議論がなされているのかお伺いいたします。 次に、小規模作業所についてであります。県では、あきた21総合計画の中で、障害者の授産施設整備促進で、心身障害者及び精神障害者小規模作業所の支援策を掲げております。この背景には、一九七〇年代に、日本にもノーマライゼーションの考え方が紹介され、以来障害者福祉の考え方が大きく見直されました。それは平成に入り、「障害者は施設へ」とのこれまでの考え方から、住みなれた地域で生活できるように支援する方向に変換されたからであります。平成七年の障害者プラン策定もその一つであり、県内各自治体の障害者計画もこの動きの中で策定されました。そして、国においても、平成九年、社会福祉基礎構造改革の検討会が発足、平成十二年六月七日には、この改革に関連する法律として、社会福祉の増進のため、社会福祉事業法等の一部を改正する法律が公布・施行となりました。これが前段で申し上げた「弱者の保護」から、障害の有無、老若を問わず、だれもが社会の一員としてその人らしい暮らしができるよう支援する、入所施設中心の施策から地域生活支援を積極的に進めていこうとするものであります。 また、この改革に当たって最も注目されたのが、全国五千カ所以上--まあ秋田県はわずか三十四カ所、東北では下位に甘んじていると言われておりますが--全国五千カ所以上存在する小規模作業所が法定内施設に移行できる制度が創設されたことであります。これまでの運営は、一部の人々の善意とボランティアに支えられていたのがほとんどですが、わずか三十年余りの間に爆発的に増加した理由には、本人や家族にとってそれほど必要とされたあかしでもあります。このたび、知的・身体・精神の三障害の相互利用も可能な新規法定施設として出発することになり、その名称も小規模通所授産施設として、運営母体になる組織の社会福祉法人格の取得が必要となりました。その中身については触れませんが、ここで確実に言えることは、近い将来というより、現実に我が比内町では立ち上げをしておりますし、田代町、大館市においてもその動きが急であります。したがって、今のままの県の対応で、果たしてこれに十分に対応できるのか心配であります。県内の動向、あるいは県のこれからの対処方をお伺いいたします。 あわせて、我が比内町には県立養護学校は現実に存在しております。しかし、他と違うのは、高等部卒業後、それに対応する福祉施設が皆無ということであります。このことをどう理解していいのか、お伺いをいたします。 次に、実はこの作業所立ち上げの時点で気づいたことですが、当初作業所を準備する段階で、五人以上でないと県の補助が受けられない。果たして対象者がいるのか心配したんです。ところが、いるんです。養護学校高等部卒業後、一般就労はしたものの、この不況で仕事はなく再就職できない人、福祉的就労の困難な人、そして施設入所もできない人など、当初は五人確保が目標であったのが、今十二人で作業を進めております。さらに驚いたというより、行政として早急な手だてが必要と私は思いますが、中学校より登校拒否し、成人しても家でぶらぶらしている人が少なからずおるということであります。結果、その家庭の実態は、なかなか表面には出にくい面もありますが、家庭内での口論、子供の将来を考えた親の悩みが散見されました。私は、こうした実態を果たして行政が正確につかんでいるのか疑問を持っております。この点についてどう対処していこうとしているのか、お伺いをいたします。 次に、障害者の雇用確保と職場・職域の拡大・開拓の促進についてであります。先ほどの日身連要望事項に対し、国から次のように回答をいただいております。「最近における障害者の実雇用率が一・六%から一・八%に引き上げられたこともあり、徐々に上昇しており、平成十一年度は前年比〇・〇一ポイント上昇し、一・四九%でしたが、法定雇用率は下回っている状況です。一方、公共職業安定所に登録している障害者の有効求職者数は、平成十二年七月末で十二万八千八百人と、前年比で七・三%増加し、過去最高でした。また、公共職業安定所に届け出のあった障害者の解雇数は、平成十一年度は二千四百二十五人と、前年比で一七・八%減少したものの、依然高水準で推移しています。このような状況の中、国としては、障害者雇用率制度の厳正な運営、障害者雇用給付金制度の運用及び同制度に基づく各種助成金の活用、公共職業安定所における、きめ細かな職業相談と紹介などなど、五項目の的確な実施に努める」とあります。我が秋田県の実態とその対策はどう進められているのか、お伺いをいたします。 次に、精神障害者の医療費の無料化についてであります。御承知のように、この事務は今保健所で取り扱っており、一般的には余り知られておりません。障害者対策でも、精神障害者対策が一番おくれております。身体障害者の医療費無料化は進んでおりますが、それに倣い、同障害者の医療費の無料化も関係者から要望が出されておると思います。既に青森、岩手、山形等は実施済みであります。我が県でもこの要望にこたえるべきと思いますが、どうでしょうか。 この項最後となりますけれども、ことし秋田県で、六月九日、十日にオストミーの、九月十五日、十六日に脊髄損傷の、十月六日から八日まで、CIL全国障害者市民フォーラムの各全国大会が予定されております。関係者は今一生懸命努力中であります。その成功に向け、県にも最大限の支援を要望するものですが、いかがでしょうか。 次に、自然環境の保全についてであります。二十世紀は戦争と開発の世紀とも呼ばれております。それは資本主義と共産主義がお互いの豊かさを求め、両側から山の頂を目指し、共産主義は途中で脱落し、今は資本主義の独壇場になったようにも見えます。しかし、気がついたら、この山の頂上は大量生産、大量消費、大量廃棄という文明のごみの山でありました。また、私どもの頭の中には、GDP--国内総生産の向上イコール幸福という考え方があるのではないでしょうか。この考え方を変えないでこのまま進めていけば、地球がもう二つも必要とも言われております。それは無理な話であります。効率一辺倒の生産生活技術を追い求めた人類は、環境破壊の世紀を猛省し、持続可能な風土、環境を取り返す行動を今からでも起こさなければなりません。 しかし、現実はどうでしょうか。昨年オランダで開かれた気候変動枠組条約第六回締約国会議、地球温暖化防止会議は、二酸化炭素排出削減で各国が合意を見ることなく終わりました。また、三年前の京都議定書で申し合わせた事項をどの国も守らなかったとされております。特に森林によるCO2の吸収量をめぐっては、CO2の発生源を抑え込む努力をしなかった我が国など、豊かな自然環境に甘える経済大国の実像が露呈されました。まず緑を守る努力が急がれます。 次に、石炭・石油などの大量消費で、地球の温暖化はもはや限界と言われております。見方はそれぞれあるようですが、二十一世紀末に地球の温度が六度上がれば、雨の少ない地域の乾燥がひどくなり、深刻な水不足が懸念されます。また、気温上昇による海面の上昇で、何千万人もの人が高潮の危険にさらされるとの予測もあります。相次ぐ火災と森林の枯れ死が温暖化を加速し、悪循環が始まっております。化石燃料に依存する社会の果てに、地球の破局があると言われております。化石燃料にかわる自然エネルギーの研究開発が進められ、その切りかえが急務であります。 とてつもなく長い時間をかけてつくり上げられた自然の数々、こうした地球の自然が今確実に壊れかけております。国民の自然を大切にしようという願いに、国では、昨年の五月、循環型社会形成推進基本法で、ごみをできるだけ出さない--リデュースと言うんですか、これ--リデュースです。製品や部品等の再利用--リユースです。出たごみは原材料として再利用する、リサイクル。利用できないごみはきちんと処理するという廃棄物減量化に向けた取り組みの順番を定めました。一方、県においても、「環境白書」の中にあるように、地球温暖化対策、オゾン層保護対策、秋田県新エネルギービジョンでその対策を掲げております。 そこで質問ですが、家電リサイクル法により、今まで行政が無料で処理をしてきた四品目の廃棄手数料が、冷蔵庫四千六百円、エアコン三千五百円、テレビ二千七百円、洗濯機二千四百円となり、それにプラス運搬料が伴うことになります。私は、県民の良識は信用したいとは思います。しかし、現実に、野も山も川もこれら不法投棄でいっぱいであります。食品リサイクル法、家電リサイクル法の趣旨の徹底及び不法投棄対策をどう進めようとしているのか、お伺いをいたします。 次に、県北十八市町村が平成十一年に国の承認を受けてスタートしたエコタウン計画についてであります。つい先ごろ、地下資源開発議員連盟でも、一部施設を勉強させていただきました。既に稼働中の家電リサイクルとリサイクル製錬拠点形成事業、コンポストセンターなど、その充実・強化はもちろんでありますが、いわゆる廃ガラス、この処理には各自治体も苦慮しており、本エコタウン計画に廃ガラスリサイクルの位置づけをし、その収集ルートの整備を図りながら処理を急ぐべきと思いますが、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、ことしに入り地元新聞に連載された「あきた新世紀、明日をひらくゴミの行方」を興味深く読ませていただきました。家庭ごみを分別徹底で三分の一に減らした秋田市の主婦や、県北のEM農法が紹介されておりました。実は、我が家でもEM農法を三年前から実施しておりますが、化学肥料を使っていた以前と違い、畑の土がやわらかく、ミミズがおるんです。野菜の味も違うような気がします。ゴミコンポストセンターなどなど、これからのごみ処理問題は、個人の意識改革や、地域が一体となり推し進めなければいけない重要な課題と私は思います。知事のごみ処理問題と環境問題に取り組む決意のほどをお聞かせください。 次に、河川などの自然環境の保全についてであります。私たちが子供のころの川はもっとゆったりと、浅瀬もよどみも深さも、そして流れもあり、柳の木々などがたくさんありました。小川には小魚がたくさんすみ、きれいな流れと美しい緑の水草できらきら輝いておりました。しかし、今はどうでしょう。すべてとは言いませんけれども、小川はどぶ川、ほかはコンクリートで固められ、昔の自然が欲しいと願うのは、私だけではないと思います。 そこで、県南千畑町、我が同僚樽川県会議員のところですばらしいことを始められております。イバラトミヨとシズを守ろう、こうした住民の願いが県を動かし、基盤整備事業から除外することになりました。いわゆるグランドワークです。グランドワークとはイギリスから伝わった運動で、住民、企業、行政、学校などがパートナーシップを組み、グランド--生活の現場に関するワーク--創造活動を行って、自然環境を整備改善するものだそうです。私は、こうした手法こそ、自然を大切に考える知事であるならば、なお拡大研究を重ねてしかるべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。 次に、河川の州ざらい、しゅんせつについてであります。川に木が生えて流れが悪い、川なのか林なのかわからない、このような状況を何とかしてほしいと、国、県の管理河川も含め、各自治体より要望が出されていると思いますが、その実態と対処方についてお伺いするものであります。 次に、農業問題についてであります。実は、私に、水田面積五ヘクタール、うち作付三・三ヘクタール、ネギ〇・五ヘクタールを作付している一専業農家より次のような文書が送られてまいりました。水田は平成十一年--おととしですね--三十キロ袋で七百袋、総額四百九十四万円。去年、平成十二年は三十キロ袋で六百四十二袋、額で四百二十八万円。一昨年より六十六万円の減収となり、また、ネギは、平成十一年二十四トンで五百七十万円、十二年二十二トンで三百六十万円、二百十万円の減収となったそうです。複合経営でネギに主力を置いたようですが--価格の問題です--ネギについては、平成十二年十月上旬より価格が下がり、十月十四日に一回目の底値市場市況で一箱五百五十円、二回目が十月三十一日の七百五十円、三回目が十一月二十日の五百五十円、四回目が十二月一日の六百円。市場市況で一箱が千円を超えると、商社の輸入ネギが大量に出荷され、全国的にだぶついて、一過間程度で底値の五百円から六百円になり、千円台の価格まで復活するのに十日以上かかるそうです。一番極端であったのが、昨年の十一月二十八日で、千二百円の市況が三日で底値になったという例もあります。平成元年から十一年までの平均キログラム単価二百四十七円に比べると、十二年の百七十五円はキログラム当たり七十二円もダウンしております。種子代、肥料、農薬、包装資材等の多少の値上げを考えますと、所得率は四〇%から三〇%に下がり、販売金額三百六十万円、重量二十二トンですと、流通費だけでも百十三万円もかかります。セーフガードにかかわる調査も経済連を通して提出しましたが、答申がことしの五月でなければわからないようで、何とも生ぬるいセーフガードであるかと思います。同じセーフガード調査を提出した生シイタケについても、平成十一年単価九百五十円、平成十二年八百五十円、二十トン出荷の農家は、販売金額で二百万円違いました。早期セーフガードの発動をお願いします。 以上が農業ではもうやっていかれない農家の悲鳴であり、この実態を見て、知事、あなたは現在の秋田県農業について大変な時代だと認識し、今定例会に稲作農業の対策費として五億七千万円余を計上しております。的を射た施策であると私は高く評価します。しかし、この方法はことし限りであり、来年の補償はありません。私は、国民の食料を守り、生産者農家の生活を守ることは一自治体で解決できる問題とは思っておりません。したがって、ミニマムアクセスに反対し、セーフガードの早期導入、農家を守る予算の獲得に向け、政府に強力に働きかけるべきと思いますが、どうでしょうか。 あわせて、今、政府自民党は二〇〇二年に向けて、意欲のある専業担い手農家に限定して、収入や所得を一定限度まで税金で補てんする農業経営所得安定対策を検討、民主党は、経営安定に新たな所得対策が必要ということで、今国会に直接所得補償法案の提出を決めております。秋田県の農家と食料を守るため、早期運動の必要性を私は認めますが、いかがでしょうか。 次に、こういう要望も受けました。県の農業改良資金を導入し、ハウスを建てましたが、ことしの豪雪により、二月十四日に倒壊したそうです。償還残期間が九年もあり、償還期限を延ばしてほしいという要望です。農業用施設のことしの豪雪被害の実態の調査結果とその対策はどうなっているのか、お知らせください。 最後に、十三年度生産調整目標面積配分にかかわる地域要望についてであります。いわゆる緊急拡大分を合めた転作率は、最高で三七・四%、最小で二五・五%となり、一一・九ポイントの差があります。この差を縮めてほしいとの要望であります。県においても、次期対策で十分考慮する旨の回答がありましたが、私には十分な転作率の格差縮小が図られたとは思えません。どう理解していいのか、知事の見解を求めるものであります。 以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(安杖正義君) 県当局の答弁を求めます。     [知事(寺田典城君)登壇] ◎知事(寺田典城君) 菅原議員の御質問にお答えいたします。 最初の国際系大学についてでありますが、御指摘のように、今後ますます国際化が進展し、日本を取り巻く大きな状況の変化も予想される中、国際系大学は、国際社会で活躍できる人材を育成するとともに、北米地域や環日本海地域との交流基盤を構築し、本県の未来を切り開いていこうとするものであり、ぜひとも実現しなければならない政策課題と考えております。こうした観点から、国際系大学のあるべき姿については、高等教育に関する専門家などで構成する国際系大学(学部)検討委員会で十分に御議論いただき、練り上げた上で報告書としてまとめていただいたものであります。その間、議会に対しては、その経過を逐一総務企画委員会に報告するとともに、適宜必要なアドバイスを受け、検討委員会の検討に反映させていったものであります。このような検討委員会の報告書を踏まえ、平成十二年十一月には、国際系大学について県の基本的な考え方を取りまとめ、総務企画委員会などに対し御説明を申し上げ、十分御議論をいただいてきたと認識しております。こうした経過を踏まえ、高等教育に関する特別委員会の委員各位はもとより、議会の皆様の特段の御理解を賜りますよう、重ねてお願い申し上げる次第であります。 二点目の福祉行政の推進についてでありますが、初めに、福祉の基本的な考え方については、地域社会は、そこに住む人々の触れ合いや思いやりなどによって支えられながら、地域独自の産業や伝統・文化をはぐくんできております。しかし、現代社会においては、都市化や核家族化の進展に加え、経済効率を追い求める余り、人々のつながりも薄れ、これが日常生活の中で憂うべき現象が見られる一因でもあると思っております。私は、福祉とは、人々のつながりや触れ合いの中で、思いやりと感謝の心を醸成しながら、ともに支え合っていくことが原点であると考えております。また、福祉サービスにおいても、人間的な触れ合いの中で、温かい心を通じて提供していくことが何よりも大事であると考えております。こうした考え方を基本に据えながら、福祉行政の推進に当たってまいりますが、その際、特にNPOやボランティアなど、地域社会における多様な主体相互の連携を深めると同時に、コンビニ型福祉サービスなど、生活者の視点に立った質の高いサービスを総合的に提供できるよう積極的に取り組んでまいります。 次に、人にやさしいまちづくり検討委員会等についてでありますが、高齢者や障害のある人を初めとして、だれもが住みなれた地域で安心して暮らせる、ともに生きるバリアフリー社会づくりを推進するため、施策・事業のあり方を初め、県民や事業者と一体となった取り組みなどについて検討する人にやさしいまちづくり検討委員会を設置したところであります。この検討委員会では、まち、住まい、交通、情報、心のバリアなど、七つの基本的な視点について、本県の抱える問題や、解決のための具体策等について、さまざまな角度から総合的に検討していただくこととしております。特に心のバリアにつきましては、検討委員会においても、県民一人一人が障害のある人への理解を深め、思いやりの心をはぐくんでいくことが極めて重要であるとの指摘もなされておりますので、今後もノーマライゼーションの理念の普及・定着に向けて取り組んでまいりたいと思います。 また、御指摘の日本身体障害者団体連合会の国への要望事項についても、検討委員会に提示し、議論を深めてまいりたいと考えております。 また、条例につきましては、検討委員会における議論を踏まえ、いわゆる交通バリアフリー法などの趣旨も取り入れながら、来年度中に制定できるよう準備を進めてまいりたいと考えております。 次に、小規模作業所の動向と県の対応についてでありますが、小規模作業所は、就労の困難な障害のある人が、作業を通して社会への適応能力を高める場として、その果たす役割は極めて大きいと考えております。こうした観点に立って、あきた21総合計画や、策定の最終段階にある県障害者計画において、小規模作業所への支援を重要課題として位置づけ、積極的に取り組むこととしております。最近の動向につきましては、ここ三年間で新たに十カ所設置され、平成十三年二月現在では三十六カ所となっております。設置数については、東北の中で下位にありますが、来年度は新たに比内町を初め複数の市町村で設置の動きが見られます。小規模作業所の設置や運営に当たっては、市町村単独で設置が困難なケースも見られ、また、作業指導員等マンパワーの確保や法人化に向けた経営基盤の強化といった課題があります。こうした状況を踏まえ、県では、これまで市町村と一体となって運営費の一部を助成してまいりましたが、来年度には、マンパワーの確保に対する助成額を拡大するとともに、複数の市町村による小規模作業所の設置についても新たな支援措置を講じてまいりたいと考えております。また、今後は、経営の安定化に向けての法人化を促進する必要がありますので、この点についての取り組みを強化してまいりたいと思います。 次に、比内養護学校と福祉施設についてでありますが、障害のある人が就学し、そして社会人として自立していく過程の中で、一貫した支援体制を整えていくことが大事であると考えております。御指摘のように、比内町には通所・入所型どちらの施設もなく、現在、隣接する市町村の施設を活用している状況にありますので、今後は、特に家庭から通所できる障害者施設について、できるだけ早期に設置されるよう、町や関係福祉団体等に働きかけてまいります。 次に、不登校等の福祉対策についてでありますが、児童、青少年が豊かな心をはぐくみ、社会性や積極性を身につけながら成長するためにも、不登校などによる引きこもりに対する対策は重要であると考えております。平成十一年度の不登校、引きこもり等の相談件数は、児童相談所百六十件、精神保健福祉センターと健康福祉センターでは四十件となっており、二十代、三十代になっても就学、就労をしないまま、うちに閉じこもっているケースも見られます。このため、保健・医療・福祉の分野に加え、教育分野との連携を図りながら、児童や家族の相談に応じるとともに、思春期・青年期親の会等の開催、家庭相談員による訪問や児童福祉施設を活用した宿泊・通所による生活指導等、総合的な援助に努めているところであります。今後とも、専門的なカウンセリングやケースに応じたケアマネジメントができる体制等の充実を図りながら、社会的自立に向けた思春期の心の健康づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、障害者の雇用の確保と職場・職域の拡大についてでありますが、県では、秋田労働局等と連携し、職業準備訓練や職場適応訓練を実施するとともに、県単独の障害者雇用開発報奨金を支給するなど、積極的に障害者の雇用拡大に努めているところであります。また、各ハローワークにおいては、障害者に対するきめ細かな職業紹介や求人開拓を行っているほか、障害者雇用に努めている事業主に対し、各種助成金を支給するなど積極的に支援しております。この結果、本県の平成十二年の障害者雇用率は一・五三%と前年より〇・〇五ポイント上昇し、全国平均を上回ったほか、全般的に厳しい雇用状況の中にあって、解雇者数も平成十一年度は前年度を下回るなど、障害者の雇用環境は改善されつつあるものと考えておりますが、今後とも法定雇用率一・八%達成に向けて、なお一層努力してまいります。 次に、精神障害者に対する医療費の無料化についてでありますが、現在、外来通院医療費については本人負担が五%となっており、また、措置入院についてはすべて公費負担となっております。今後の医療費助成のあり方については、他の公費負担医療制度との公平性や、障害の程度、所得に応じた負担等について、さらに検討してまいりたいと思います。 次に、障害者市民フォーラム等の全国大会の支援についてでありますが、ことしの六月から十月にかけて、本県において全国規模のイベントが開催されますが、こうした大会を通じて、障害のある人の自立心も高まり、また、県民の理解も深まってまいりますので、開催に向けての準備や運営等に対し、支援してまいりたいと思います。 三点目の自然環境の保全等についてでありますが、初めに食品・家電リサイクル法と不法投棄対策については、本年四月一日の法施行に向けて、これまで収集システムのあり方などについて市町村と協議を重ねるとともに、県民の皆様には、市町村広報や消費者団体の研修会等を通じ、周知徹底を図ってきたところであります。循環型社会を構築するため、今後とも家電リサイクル法や食品リサイクル法などの周知を図ってまいりますが、法施行に伴い、事業者や消費者に新たな負担を求めることとなることから、心ない者による不法投棄が懸念されております。このため、県内八保健所に不法投棄監視員を新たに配置するとともに、北東北三県が共同してのスカイパトロールの実施や関係機関との情報ネットワークの構築により広域監視体制の強化を図るなど、本県の豊かな環境を破壊する行為は断じて許さないという強い決意で臨んでまいりたいと考えております。 次に、エコタウン計画についてでありますが、秋田県北部エコタウン計画は、県北十八市町村と県が、環境と調和したまちづくりを目指して策定したものでありますが、現在、家電リサイクル事業などさまざまな事業が動き始めており、今後とも資源循環型社会の形成に向け、各種リサイクル事業を推進してまいります。 御指摘のありました廃ガラスのリサイクルをエコタウン計画に位置づけることについては、収集ルートの整備や販路の確保、事業の採算性など検討すべき課題がありますので、こうした点も含め、関係市町村と協議してまいりたいと考えております。 なお、廃ガラスについては、現在、容器包装リサイクル法に基づき、三十八市町村で瓶の分別収集・リサイクルが行われており、今後、平成十六年度までには、ほぼすべての市町村で実施される見通しであります。 次に、ごみ処理問題についてでありますが、この問題は地球環境問題などと同様、今日における大量生産、大量消費型の社会経済システムや、ひたすら物質的な豊かさや利便性のみを追い求めたライフスタイルがもたらしたものであり、今日の環境問題の根源はまさにそこにあります。今こそ私たちは、地球環境が危機に瀕し、人類の生命そのものが脅かされていることを認識するとともに、持続発展可能な循環型社会の構築に向けた取り組みを進めていく必要があります。県では、地域に根差したリサイクル活動を推進するため、リサイクルリーダーを養成するとともに、「ごみゼロあきた」を目指した地域推進会議を新たに設置するなど、県民総参加のもとで環境に配慮した取り組みを促進することとしております。「一人の大きな百歩より、百人の小さな一歩」を基本的な認識として、環境と調和した社会づくりを着実に進めてまいりたいと考えております。 次に、グランドワークによる自然環境の保全についてでありますが、県内の豊かな自然環境の保全を図るため、県は、平成十年に策定した秋田県環境基本計画に掲げる生物多様性の確保、自然と共存した持続可能な農林漁業の推進等の重点プロジェクトに取り組んでいるところであります。千畑町の事例のように、国及び県のレッドリストに選定されているイバラトミヨ雄物型の保全と農業基盤整備事業との両立を図ることもその一環としての取り組みであります。農山村地域の自然環境の保全を図るためには、地域住民と行政とのパートナーシップに基づくグランドワークも重要と考えており、県としても今後積極的に支援してまいりたいと思います。 次に、河川の維持管理についてでありますが、県管理の河川延長は約二千九百キロメートルの広範囲に及ぶことから、河川愛護団体等の支援も受けながら実施しておりますが、全延長において適切な維持管理を行うことは困難な状況であります。一方、市町村からは河川の州ざらいや立ち木の除去、除草、ごみ処理等について要望がなされております。このため、平成十三年度は、河川愛護団体やボランティアの拡大と育成を図ることを目的に、環境整備地域連携事業を創設し、除草やごみ処理について市町村を通じて支援してまいりたいと考えております。また、州ざらいや伐木については、生活に密着した箇所を重点的に実施し、河川環境の保全に努めてまいります。 四点目の農業問題についてでありますが、健全な農家経営のための新たな施策については、本県農業が持続的に発展していくためには、規模拡大や経営の複合化など、農業構造の改革を進めていくことはもちろんですが、加えて、主要な農産物についての十分な国境措置の確保と、農家が意欲を持って経営改善に取り組める経営所得対策の確立の二つがともに実現されることが不可欠であると考えております。 まず、国境措置についてでありますが、野菜等の輸入量の急増に対しましては、セーフガードを発動するに当たって、生産者等が多大な影響を受けていることを立証する義務があることなど、手続に相当の期間を要することから、迅速に発動できる仕組みとすることや、年々増加してきたミニマムアクセス米についても、アクセス数量の縮減など、引き続き国に強く働きかけてまいります。 次に、経営所得対策についてでありますが、米や麦、大豆等につきましては、品目ごとの経営安定対策が講じられているところでありますが、こうした対策だけでは、長期にわたって農産物価格が低落し続ける中にあって、担い手農家の経営意欲が減退しかねない状況となっていることも事実であります。この点につきましては、国が既に検討を開始しているところですが、育成すべき経営体が今後とも意欲を持って経営改善に取り組んでいけるよう、価格の変動にかかわらず、一定の収入ないし所得を見通すことができるような新しい経営所得対策の早期実施について強く要請してまいります。 次に、農業用施設の豪雪被害状況とその対策についてでありますが、ことしは一月五日にこの冬初めて大雪警報が出され、昨年に比べ早い時期から激しい降雪に見舞われており、平野部の横手市でも二月十六日現在の積雪深は百十センチとなるなど、全県で降雪量が多く、また気温も低い日が続いております。このため、一月十七日に県農作物異常気象対策本部から大雪に対する当面の技術対策を関係機関へ通知し、農業用施設や農作物等への被害防止対策等について指導しております。これまでの農業関係の被害の状況につきましては、パイプハウスの損壊を中心に、一千九百万ほどの被害額となっておりますが、今後は雪消えとともに果樹被害が心配されますので、枝折れ防止対策等について、きめ細かな指導を徹底してまいりたいと考えております。 なお、農業関係制度資金の借り受け者が災害を受けた場合は、償還金の支払い猶予の措置を受けることができますので、融資先の農協等に相談していただきたいと思います。 次に、生産調整目標面積の配分についてでありますが、国から本県に配分された生産調整目標面積については、毎年、市町村、農業団体等で構成される秋田県水田農業推進協議会の協議により、国から県への配分方法との整合性や従前の目標面積との連続性を保つことを基本として、市町村に配分しております。平成十三年度の配分についても、こうした考え方に基づき、十二年度分の面積を固定し、拡大分を加えたものであり、拡大分の算定に当たっては、市町村間格差を縮小することに配慮する意味合いから、水稲作付面積を基礎として配分面積を算出しております。国では平成十四年度から、農業団体の意向を踏まえて配分方式の見直しを行うこととしており、県としてもこうした動きを視野に入れながら、転作率の市町村間格差の是正について、市町村、農業団体等と協議してまいりたいと考えております。 ○議長(安杖正義君) 四番菅原君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。 △午後零時十六分休憩 ---------------------------------------
    △午後一時五十分再開    出席議員    四十三名      一番  加成義臣      二番  安藤 豊      三番  土谷勝悦      四番  菅原龍典      六番  工藤任国      七番  栗林次美      九番  川口 一      十番  安杖正義     十一番  宮腰 誠     十二番  樽川 隆     十三番  平沢健治     十四番  小番宜一     十五番  村上 薫     十六番  小田美恵子     十七番  武田英文     十八番  金谷信栄     十九番  鶴田有司     二十番  冨樫博之    二十二番  穂積 志    二十三番  小田嶋伝一    二十四番  野原多津美   二十五番  原 盛一    二十六番  大野 忠右エ門 二十七番  木村友勝    二十八番  加藤義康    二十九番  佐藤健一郎     三十番  中泉松之助   三十一番  佐々木長秀    三十二番  伊藤万治郎   三十三番  長谷部 誠    三十四番  能登祐一    三十五番  鈴木洋一    三十六番  菅原 昇    三十七番  大里祐一    三十八番  工藤 嘉左衛門 三十九番  津谷永光     四十番  北林康司    四十一番  児玉 孝    四十二番  山田靖男    四十四番  藤原俊久    四十五番  辻 久男    四十七番  柴田康二郎    四十八番  北林照助---------------------------------------     地方自治法第百二十一条による出席者          地方労働委員会会長職務代行者      古田重明          他は休憩前に同じ--------------------------------------- ○議長(安杖正義君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、お諮りいたします。四番菅原龍典君から、先ほどの本会議における同君の一般質問中、発言の一部を取り消したいとの申し出がありました。つきましては、この発言の取り消しの申し出を許可することにして御異議ございませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり] ○議長(安杖正義君) 御異議ないものと認めます。四番菅原君の発言取り消しの申し出は許可されました。 日程第一、一般質問を継続いたします。二十五番原盛一君の一般質問を許可することにして御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり] ○議長(安杖正義君) 御異議ないものと認めます。二十五番原君の発言を許します。     [二十五番(原盛一君)登壇](拍手) ◆二十五番(原盛一君) 自由民主党の原です。 二十一世紀初めての二月定例会に臨み、知事並びに県警察本部長に対して、提出いたしております質問主意書に従い質問いたします。 二十一世紀最初のアメリカ大統領ブッシュ氏は、就任演説の一節で次のように語っています。 「国民の行動は、政府の行うあらゆることと同様重要だ。あなた方には、個人の幸福を超えた公益を追求してほしい。必要とされる改革を安易な中傷から守り、国家への奉仕をまず隣人に手を差し伸べることから始めてほしい。あなた方には、傍観者や従属者ではなく、責任ある市民となってほしい。奉仕の心に満ちた社会と品格ある国家を築く責任ある市民となることを」とあります。民主主義の基本を踏まえたこの演説に刺激され、改めて県民への奉仕者としての自覚を新たに、県民の利益を求め質問をいたします。 質問に入る前に、まず先人の言葉を引用してみたいと思います。孔子の教えに、国家存立のためには、信と食と武の必要を説かれたそうです。「信」とは、よりよい統治を希求する国民の夢とかあこがれとか、国民が国民として協力できるような相互信頼とか、また、自主自尊というような精神的な意味の背景であり、「食」とは、腹が減っては戦はできぬのことわざのように、何はさておいても生きるために最重要なのが食であります。「武」とは、いかに信たらんと欲しても、また、いかに経済・食料の充実、生活の確保を願ってみても、国が守りを失えば敵国により適当に料理されてしまうわけで、そこには信もなく食もなく、いかに国防の重要なるかを教えられたわけであります。これは、国家存立のために必要な三本の柱についての孔子の教えであります。国家存立の柱の一本を他国にゆだねるとは、石が流れて木の葉が沈むに似た、あるいはそれに近い食料軽視の思想としか思われず、まことに残念でなりません。 一九九三年十二月十四日未明、ガット・ウルグアイ・ラウンド決着の大詰めの場面で、政府はついに米の部分開放を決定いたしました。日本が国是としてきた米の完全自給を放棄したのであります。長い間我が国の農政のかじ取りをしてきた自民党政権によってではなく、細川連立政権によって決断されたことに、歴史の皮肉を感ずるとともに、「怒髪天をつく」という言葉がありますが、それ以上であります。その後、一九九五年に、四十三万トンの輸入を皮切りに、二〇〇〇年には七十七万トンと、実にこの六年間に三百七十一万トンのミニマムアクセス量が日本に輸入され、米の過剰在庫の中でなぜ輸入する必要があるのか、また、幾ら国家貿易とはいえ、国内の需給状況にかかわらず、計画どおりに輸入しなければならないのかと素朴な疑問が多数寄せられております。ミニマムアクセス米は、国内の需給には影響は与えないとしながらも、売買同時入札のしわ寄せで、加工用の国産米の需要に明らかに影響を与えていることは明白であります。また、国内在庫数量とこの六年間のミニマムアクセス量との差が、偶然とはいえ近いのはどうしてなのか、摩訶不思議としか言いようがありません。三百七十一万トンのこの数値は、秋田県の六・五年分の生産量に匹敵するものであります。その後、ウルグアイ・ラウンド対策として六兆百億円の政府対応と、秋田県では平成七年から平成十二年を目途として、今後の国際化時代における激しい地域間競争に対応し得る足腰の強い農業生産体制と、豊かで住みよい定住環境を緊急に構築整備していく必要があるということで、さまざまな施策目標を数値化し、一九九五年から六年間で四千二百四十八億二千三百万円を投資して、秋田県農業農村対策大綱を制定し、事業推進を図ってきたわけでありますが、まずミニマムアクセス米の輸入に対するお考えを含みながら、秋田県農業農村対策大綱の総括的な考えを伺いたいと思います。 次に、新世紀あきたの農業・農村ビジョンに関連して質問いたします。平成十一年七月に国が制定した食料・農業・農村基本法とほとんど時を同じく、県では二十一世紀における県政運営の指針となる、あきた21総合計画を策定したわけですが、計画の一環として、国の農政改革や県が抱えている農業問題など、農業政策の指針となるべく、二〇二〇年ごろを展望した農業・農村の発展の可能性を示すとともに、二〇一〇年までに達成すべき取り組みの目標や指針となるプランをきめ細かに策定したものと感じ取っています。大変すばらしい内容と農業再生のため頑張るぞという、ビジョン作成に参画した職員の熱意がひしひしと伝わってきます。このようなすばらしいビジョンを十年、二十年というスパンで推進いたすわけですが、私は施策の多様性から見て大変なエネルギーが必要と感じます。川上から川下まで一貫性を保ち目標や指針をクリアするためには、条例を制定し、県民に見える、希望が持てるような方向づけが必要と思います。我が県の例規集をひもといても、基金条例のほか、該当する条例はありません。 現に北海道では、平成九年四月三日に北海道農業・農村振興条例を施行しています。四章四節三十五条から成り、従前の関連条例も合わせて整理されています。基本理念は、「食料の安定供給や地域経済の健全な発展に寄与している北海道の農業・農村を貴重な財産としてはぐくみ、次世代に引き継いでいきます」とあり、目的として、「農業の健全な発展及び豊かで住みよい農村の確立を目指す」とあります。また、青森県では、将来の人口問題等にかんがみ、人材の確保と新規就農者の確保を目的に、青森県新規就農促進条例を平成十一年十二月二十四日に施行しています。 隣県及びこれから産地間競争で競い合わなければならない県で、農業の憲法たる条例を定められるのを見ますと、我が県も早急に取り組むべきと思いますが、知事の見解をお伺いいたします。 次に、農業後継者対策について、五項目にわたり質問いたします。 まず、農家の嫁不足、縁談について伺います。今から三十年ぐらい前には、行政も大変な力の入れようで、農家の嫁さん不足に真剣に取り組んでいました。運動の成果があり、この問題は解決したものと思っていましたが、昨年、我が党の女性部全県大会の席上で、参加者の一人から、農家の嫁さん不足について、政治課題とし真剣に取り組むよう要望があったわけであります。その後、郡内を回り調査しましたところ、声なき声と言うべきか、あきらめというか、無気力な状態を見るにつけ、社会問題ととらえ、問題を提起したほうが適切かと考えたわけであります。人口四千九百名のある村では、二十歳から三十九歳までの結婚適齢者が男子二百五十三名、女子百六十五名、計四百十八名で、人口の約八・五%が結婚適齢期であり、ほかの町も人口七千四百六十四名に対し、七百三十六名の未婚者で、約九・八六%であり、そのほかの町村でもパーセンテージはほとんど変わりなく同一と考えます。 一つ例をとりますと、大曲市と近隣五カ町村の農業後継者結婚相談委員の実績を見ますと、昭和五十四年から六十三年まで、嫁さん、婿さん、合計で四百四十五名の実績があります。その後、平成元年から平成十年度まで、嫁さん、婿さんの合計で百七十六名の縁組でしたので、どうしてこのような落ち込みになったのか、聞き取り調査をした中で、十二年ぐらい前までは農業委員会で未婚者、結婚適齢期の人たちの名簿を作成し、相談員の資料として活用していたそうですが、その後、人権問題、プライバシーに触れるということで、名簿の発行を取りやめた経緯があり、現在情報収集に大変難儀しているとのことであります。個人の人権は尊重しなければなりませんが、しかし運用の取り決めなどで、データの作成は可能と思われます。自治体の基本である人口動態の一部の調査がこのような形でなおざりになっているとはまことに情けない次第であります。このままでは農家の家族構成は崩れ、農家は崩壊し、農村は廃村になること明白であります。社会問題の人口減少等の現況を踏まえ、あらゆる施策を講じ問題解決に取り組むべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、地域農業の担い手とリーダーの育成について質問いたします。県では、地域農業の幅広い担い手の確保・育成を掲げて、現状と課題を分析していますが、ある新聞のデータには、秋田県の農家のうち十年後に農業をやめる数字として約四〇%の離農者数をはじき出していましたが、県ではこの数字をどのように分析をするのか大変興味があります。県の言う組織の規模拡大、企業ベースの産業としての農業のとらえ方、全員参加型の地域農業という腰から上の不安定な農業形態を不安に感ずるとき、もっと大地にしっかりと根を張るために、中・長期的にわたる施策の確立と地道な教育、学習の場を提供するとともに、地域のリーダー的人材の育成を図るべきと考えますが、知事の考えを伺います。 次に、兼業農家と共生のできる法人組織育成について伺います。県では、国際化に対応すべく、生産者から経営者を目指す新時代に対応する強い経営づくり基盤推進のため、農業法人の育成を進めていますが、平成十一年九月時点で農業法人二百六十四法人となっています。この数字を見ただけでも大変な努力が必要だったと思います。今後も兼業農家との地域連携を保ちながら、より強固な法人組織の育成が必要と思いますが、知事の考えを伺います。 新時代に躍動する多様な農業経営体の育成のもとに、認定農業者制度を発足以来、六千三百十五名の認定農業者の皆さんが懸命に向かい風の中頑張っていますが、認定が始まったときと今の米価の三千円以上の価格差に、体力も相当弱まってきていると思います。このような背景かどうか把握できませんが、五年ごとに行われる再認定率が八五%となっていますし、今後、二〇二〇年まで一万二千名の認定農業者を確保する計画ですが、認定農家のケアのためにも、改良普及センターに専門担当員制を確立すべきと思いますが、いかがなものでしょうか。 次に、産業用無人ヘリコプター導入と安全運航について伺います。農林水産航空協会の平成十二年十月二十日現在の調べで、水稲、大豆、麦などの農薬散布面積の合計が東北六県で八万一千三ヘクタール、秋田県で二万四千百四十一ヘクタールが無人ヘリで行われているそうです。また、機体数は、東北六県で二百七十四機、秋田県では七十九機所有され、オペレーターは東北六県で千五百三十五名、秋田県で四百六十八名で運航されています。今後も有人ヘリの需要は環境問題などでますます散布面積が減少傾向にあると思います。その分の面積は、高齢化時代にあって、無人ヘリに需要が出てくると思います。現在の農業を取り巻く環境では、今後も導入機数が多くなると思いますが、無線周波数で遠隔制御され、高価な機体と安全を確保するために、農協、メーカー主導でさまざまな学習の場を設けてきました。しかし、産業用ラジコン電波は四波しかなく、同一の周波数を同時に使用しますと、コントロールが困難になります。このような課題をクリアするために、総務省に県として働きかけをすべきと思いますが、いかがでしょうか。また、県主導で安全運航管理のため指導体制を確立すべきと思いますが、その点についても考えをお伺いいたします。 次に、農業金融制度についてお伺いいたします。専業農家、一種兼業農家の皆さんは、コスト削減に努力し、稲作経営を行っていますが、農業を取り巻く環境の悪化に伴い、年々収入が減り、経営を維持するため大変な努力をいたしております。苦しい経営の中で、農協、金融機関に融資の申し込みをいたしても、なかなか審査が厳しく、融資を受けるのは至難のわざと言われています。一例を挙げますと、昨年の稲作農家緊急経営安定資金について、私の近隣一市十三町村で、融資を受けた人は六十名、融資額は約三千万円であります。稲作農家を取り巻く情勢を考えますと、思いのほか実績額が少ないことから、何らかの原因があると思い調査いたしましたところ、一般に書類の枚数が多い、手続が面倒、書類の審査が厳しいなどの理由から、当面は共済の解約、多少金利が高目でも農協の資金を利用するなどなど、このようなお話を多数受けました。借りたものは返すのが常識ですが、事務手続の簡素化、制度の拡充など充実強化を強力に進めるべきと思いますが、いかがでしょうか。 次に、農地保有合理化事業関連について質問いたします。農家倒産の統計はないと聞き及んでおりますが、私の調べでは、負債処理のため農家を離農する数は年々ふえてきていることが確認できました。もう田んぼを整理して家族全員で収入を求め外に働きに出る人、家を捨て都会に行き空き家として残っているのも珍しくなくなりました。我が県では、昭和六十二年以来、経営危機の農家に低利融資や利子補給など、他県に先駆けて農家救済に努めたわけであります。その後の米をめぐる状況は知事も御存じのとおりであります。先般、農業公社等でいろいろ説明を受けましたが、その中で公社での年間取り扱う農地が全県で約三百ヘクタール、県南で百五十ヘクタール、仙北郡で約七十五ヘクタール強の取り扱いと伺ってきました。反面、農協、農業委員会などを回ってみますと、潜在的に公社で買い受ける制度があると、十倍以上の面積があることが確認できた次第であります。 このような中、先般、農林水産省が農地保有合理化事業を拡充し、保有合理化法人が貸し付け用農地を買い入れるための資金の一部を無利子で融資する制度が新設され、貸し付け中に農地価格が下落した場合、損失の一定割合を補てんする仕組みが整備されました。しかし、期待して調べてみると、どうも秋田県では利用しづらい仕組みになっているのではないかと思いました。農協、農業委員会から伺った潜在的な面積の多くは、農家の経済破綻に伴うものと思われますが、放出時の再活用と再生産に向けて、農地保有合理化事業の強力な展開について、農協組織を視野に入れた農業公社の指導が必要と考えますが、国の事業の新しい仕組みに対するお考えも含め、知事の所見をお伺いいたします。 次に、生産調整について四項目にわたり質問いたします。 まず最初に、生産調整についてお伺いいたします。一九七〇年、米の本格的生産調整が百万トンの減産を目指してスタートして以来、今日まで三十年の減反の歴史が積み重ねられてきましたが、いまだ同じ政策に翻弄されていることを知事はどのようにお考えかお伺いいたします。 第二点目、生産調整面積配分について伺います。水田農業経営確立対策では、生産者団体の意向を踏まえて、需要に応じた米の計画的な生産を推進していくことを基本にしていますが、緊急総合米対策を平成十三年度限りの措置として生産調整規模を緊急に拡大し、なおこの措置を行っても目標の減産に達しないときは青刈りで達成すると大変な意気込みです。まず、国から県には、十二年生産調整面積を三千九百三十三ヘクタール上回る四万二千四百七十六ヘクタールの面積配分がなされたことから、市町村別の配分については、国から県への配分方法との整合性やこれまでの目標面積との連続性を保つため、平成十二年度の面積三万八千五百四十三ヘクタールを固定し、拡大部分の面積三千九百三十三ヘクタールを追加するとあります。平成十三年度市町村別生産調整目標面積を算出するための平成十二年度市町村別生産調整目標面積は、何年前からの基準になっているのかをお伺いいたします。 第三点目、過去の減反制度の未達成面積はどのような姿で解決されたのか、それとも県全体で達成したから、未達成地区はお構いなしなのでしょうか。 第四点目、県内各地で生産調整に非協力者がおり、地区達成金十アール三千円を受け取ることができず、お互い住んでいる地域で気まずい思いをしているそうです。地区達成金は、新食糧法の絡みから運用方法を見直すか、基本額に含めるかを検討すべきと思いますが、知事の考えを伺います。この四点について、お答え願いたいと思います。 次に、転作奨励作物の今後の動向と地元消費について二点質問いたします。 国道の道の駅、または村営、町営と、近隣農家でとれた新鮮な野菜、果物が春から晩秋まで県内の至るところの農産物直売所で見られるようになりました。自分たちで管理生産した生産物を販売しているのです。農家の主婦の皆さんの働いている姿を見ますと、生き生きと本当に輝いて見えます。傍らで見ていますと、これが本当の農業人の姿ではないのかと感じたのは私だけなのでしょうか。朝早くから暑い日中額に汗して働き、ようやく苦労が実り労働の対価を現金で手にできる、この喜びが農業の再生産に結びつく最も大事なことではないのかと思うのは、皆さんと同じであります。しかし、全県で十三億円近い売り上げの直売所も、さまざまな要因でだんだん頭打ち傾向にあると言われています。せっかく軌道に乗った直売をブームで終わらせないためにも、経営指導を行うとか、何らかのバックアップがあってしかるべきと思いますが、知事の所見を伺います。 二点目、ことしから生産調整面積が増大し、さまざまな農産物の作付、生産が始まります。とりわけ麦については、新しく奨励される品種もあり、厳しい生産調整に対応し、所得向上に向けては大いに作付指導すべきと考えます。奨励品種は、パン加工用、めん類向き用と二種類あり、また、適地の関係で作付に適さない地区もありますが、当面はこの品種で対応せざるを得ないわけです。麦と並行して大豆の作付面積も、平成十二年の全国作付面積は十二万二千五百ヘクタールと、前年比一三・二%の増加となっています。秋田県の作付面積は五千八百十ヘクタール、収穫量一万二千二百トン、十アール当たり田畑を合わせ二百十キログラムと、全国五番目の単当収量を上げています。このようにすぐれた生産技術を指導してきた関係者に心から敬意をあらわすものです。 さて、技術は確立されました。次は、わせ種の種子確保と麦を合わせた総合的な対策の検討が必要と思われます。入り口から出口までしっかりとした展望と総合的な施策により、今後の本作へと結びつくものと考えますが、知事の麦、大豆にかける熱意のほどをお伺いいたします。 次に、平成十二年度中山間地域等直接支払制度の取り組みについてお伺いいたします。農政史上初めての制度である中山間地域等直接支払制度取り組み状況が公表されていますが、その中で、全国の自治体の取り組み状況に大きな差異が見られたと報告されています。地方裁量主義と評価されている制度ではありますが、中山間地域等の活性化、環境問題等の点を踏まえつくられた制度であり、秋田県内四十三市町村、五百二十集落、個別協定数三十一、協定締結面積五千五十七ヘクタールの取り組みで行われたところであります。平成十二年度の取り組み状況と今後の制度推進に当たっての県の取り組み、指導方針についてお伺いいたします。 次に、秋田県奨励品種「秋田五九号めんこいな」について質問いたします。平成十一年四月に秋田県奨励品種となりました秋田五九号は、あきたこまちと違う米を求める期待にこたえ、昨年から本格的な生産がされ、最終的には県内作付面積の一〇%に当たる一万ヘクタールの生産規模を計画しています。県では、あきたこまちを七〇%の作付制限をし、こまち偏重を避けるため、秋田五九号等を奨励したものと思います。食味のよいササニシキ、コシヒカリの血を引く秋田五九号の種子を希望する農家は、県内にとどまらないと考えます。あきたこまちは全国上位の作付面積と全国各地で生産されています。それがゆえに、生産地との時期的、量的な需要と供給のため、さまざまな不利益を生産者に及ぼしているものと感じています。このような現況の中、せっかく種苗法という法律の制定があったのですから、秋田県の利益を守るためにも、県外に種子が流出しないよう対策を講じ、「こまち」の二の舞にならぬようにすべきであると思いますが、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、カドミウム汚染対策について伺います。この項目を質問すべきかどうか迷いました。県民の利益を追求する立場でほかに解決する手だてはないのかと悩みもしましたが、思い切って質問いたします。 平成十一年はカメムシ、カドミウムの対策に追われた年であったと思います。県内では、昭和四十年代からカドミウム汚染が見つかり、長い間生産現場を中心に対策に努力をしてきました。しかし、消費者の汚染米に対する目は厳しく、場当たり的な対応ではもう秋田産米全体に影響が考えられる事態になったと認識しなければなりません。このような現況を踏まえ、公害防除特別土地改良事業を含めて恒久対策を施すべきと思いますが、知事の考えをお伺いいたします。 「土に立つ者は倒れず、土に生きる者は飢えず、土を守る者は滅びず」とあります。先人のこの教えを守り、信じて、農業関係を終わります。 次に、県民のための警察再生について質問いたします。警察本部長は、本年仕事始めにおいて、「不祥事からの再生が警察改革の最大命題」とし、このたび大規模な組織改革を初めとする県警察の警察改革について公表されたところでありますが、各新聞社の年頭社説においても、ルネサンス、再活性化について論じられております。「再生」は、ことしの日本社会のキーワードになるのではないかと感じている次第です。私は日ごろ、困り、苦しんでいる人を助け、不安を抱えている人に安心を与えることが警察のあるべき姿と考えております。県民も、警察官一人一人が県民に奉仕する心を持って、治安の維持に当たることを強く望んでおり、警察改革に当たっては、県民の要望にこたえる仕組みづくりが基本と考えます。このたび公表された秋田県警察改革要綱には、県民の意見・要望に対応する体制の確立や、住民の声を警察業務に反映させる仕組みづくりに意を配されており、再生に向けた県警察の姿勢をくみ取ることができたのであります。 そこで、新たな仕組みのうち、とりわけ県民とのかかわりが深い、次の点について質問いたします。第一点目は、県民からの要望や相談、苦情等への対応要領について。第二点目は、警察署協議会についてであります。そして、県民のための警察再生に向けた職員の意識改革をどのように推進しているのか、以上について警察本部長にお伺いいたします。 最後に、数回にわたり県の考えをただしてきましたが、田沢湖における東北電力の発電水利権について簡単に質問いたします。平成十一年十二月に水利権の更新問題に関連し、協議会を設置し、通常であれば三十年の水利権許可が暫定三年の利用を認め、現在に至っていますが、県は明年の再契約に向け、どのような考えで取り組むのか質問いたし、私の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(安杖正義君) 県当局の答弁を求めます。     [知事(寺田典城君)登壇] ◎知事(寺田典城君) 原議員の御質問にお答えいたします。 最初の農業問題についてでありますが、秋田県農業農村対策大綱とミニマムアクセス米については、農業農村対策大綱につきましては、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う国際化時代の中にあっても力強く発展できる農業・農村を確立するため、平成七年二月に、人づくり、産地づくり、基盤づくり等を基本に策定し、市町村、農業団体と一体となって、五カ年にわたり推進してまいりました。その結果、圃場整備の進展や農地の流動化など、ほぼ目標を達成してきたものもありますが、農業生産額については大きく低下しており、米を初めとする農産物価格の低落の影響を、野菜や花卉等の生産拡大でカバーし切れなかった結果と重く受けとめております。 しかしながら、大綱に基づく各般の施策と農家の方々の御努力の結果、規模が大きく効率的な農家や生産組織が少なからず育ってきており、また、収益性の高い野菜等との複合経営も産地化に向けて着実に広がりつつあります。県といたしましては、今後、農業・農村ビジョンに即し、こうした意欲的な農家に焦点を当てながら、より効率的で収益性の高い農業経営の実現を強力に支援し、本県農業の再構築を図ってまいりたいと考えております。 なお、ミニマムアクセス米につきましては、国産米の需給にできるだけ影響を与えないよう措置されていると聞いておりますが、ミニマムアクセス数量が年々増加してきたことに対しては、生産調整面積の拡大と相まって、生産者の方々の憤りがますます強まってきているものと感じております。米の主産地である本県といたしましては、今後交渉が開始されるWTOの新ラウンドにおいて、ミニマムアクセス数量の縮減が図られるよう、国に対し引き続き強く要望してまいります。 次に、農業の振興に関する条例の制定についてでありますが、農業・農村ビジョンは、二十一世紀における県農政の基本指針として、本県農業・農村の目指す姿や、その実現に向けた基本的な考え方、施策の展開方向を明らかにし、今後の具体的な施策事業の立案と実施のよりどころとなり得るものとして策定したものであります。このように、ビジョンは、実態として御提案のあった条例と同様の機能を果たすものであると考えておりますが、例えば地産地消の推進など、農業者、農業団体だけでなく、消費者や食品産業などの関係者がそれぞれの役割に従い、連携し、県を挙げて取り組むべき個別の課題に対応する場合にあっては、条例の制定を含め、効果的な推進方策を検討してまいりたいと思います。 次に、農業後継者問題についてでありますが、初めに、農村における結婚問題については、これまで農業委員会等が中心となり、結婚相談活動など地道な努力を続けてまいりましたが、なかなか思うような実績が上がっていない実情にあります。後継者やその家族の心情を思うと、あらゆる機会をとらえて、若者の意識や感性の変化を踏まえ、新しい視点も加えながら、効果的な方法を講じていく必要があると考えております。例えば、都市に住む若者の田舎志向、自然志向をとらえた、農業の楽しさを共有する体験農園への取り組みや、インターネットを活用して自分の農業に対する思いや主張を広く県内外に情報発信する取り組みなど、新しい形での出会いの場づくりを進めたり、従来から実施している交流会についても、若者に身近なEメールや携帯電話などの活用で、その出会いが一過性に終わらないように配慮したりするなど、市町村と連携を図りながら、後継者や後継者グループに積極的に提案し、応援してまいりたいと考えております。 次に、地域農業の担い手とリーダーの育成についてでありますが、地域農業の担い手として期待している方々は、プロ農業経営体を目指す個人や法人、農業後継者など新規就農を目指す若者、女性農業者や高齢者など多様であり、県としては、それぞれの担い手のニーズに対応した育成方策を講ずることとしております。中でも、農業で自立するため、経営改善計画の達成に積極的に取り組む認定農業者に対しては、個々の経営タイプや地域性を考慮しながら具体的なプランを提示するなど、継続的に支援を行っております。次代を担う新規就農者を確保・育成するためには、若者の多様なニーズに対応した研修メニューを準備するほか、農業以外からの就農希望者を発掘するため、インターネット・アグリスクールを開校するとともに、農業への職業観をはぐくむため、子供たちの農業体験学習を通じて、農業・農村への理解を深めてまいります。 さらには、農産物の直売や加工等のアグリビジネスに積極的に取り組む、頑張る農村女性に対しては、体験交流の機会を豊富に提供することによって、地域活性化の起爆剤となっていただくよう支援してまいります。 また、地域農業のリーダーであり、集落のまとめ役として活躍している農業士などが指導力を発揮して、それぞれの地域で担い手を育成するなど、地域に密着した人材育成にも力を入れてまいりたいと考えております。 次に、農業法人の育成についてでありますが、本県においては、今後、兼業化や高齢化の進展等により、農業の担い手を確保することが困難な地域が増加することが懸念されており、こうした地域においては、農業を主体となって支える法人組織を育成することが極めて重要であります。具体的には、地域内の農地の過半を集積する特定農業法人制度を活用することが、最も効果的な手法であると考えております。このため、県としては、本制度の活用に向け、農家が提供する農地、労働力や、法人経営における役割分担などについての合意形成に支援を行うとともに、設立後においても早期に安定的な経営が確立できるよう、十分指導してまいります。 次に、認定農業者の指導についてでありますが、現在、地域農業改良普及センターを中心に、産地づくりや担い手を育成するための支援チームを設置して、認定農業者等を対象に、個々の経営体の技術や経営の実情に応じたカウンセリングと経営診断を実施し、経営改善計画の達成に向けて支援しております。特に、経営の行き詰まりが懸念される認定農業者等に対しては、経営を専門とする担当者が財務内容を分析し、経営の再建に向けて一歩踏み込んだ指導を行っており、今後ともより一層きめ細かな支援・指導に努めてまいります。 次に、産業用無人ヘリの安全運航についてでありますが、原議員におかれましては、いち早く無人ヘリを導入されるなど、時代を先取りし、環境に配慮した農業を実践され、地域農業活性化の牽引役として御活躍されていることに対し、深く敬意を表します。 さて、本県における産業用無人ヘリは、その保有機体数は全国で三番目に多く、今後とも担い手農家などを中心に導入が進むものと考えられます。その活用に当たっては、安全の確保が極めて重要でありますので、免許取得後も技術の習熟が必要であると考え、県では航空協会などと連携し、技術向上を図ってまいりました。今後とも、有人ヘリとの機能分担を図りながら無人ヘリの活用を推進するとともに、さらに本年四月には、県と関係機関から成る秋田県産業用無人ヘリコプター連絡協議会を設立し、安全に関する啓発活動のほか、研修会や技能向上大会を開催するなど、安全運航管理のための体制整備に努めてまいります。 なお、周波数の増波については、これまでも航空協会など関係機関が中心となって国に要望しておりますが、県としても連絡協議会と連携しながら、安全運航が確保されるよう、国に働きかけてまいりたいと考えております。 次に、農業金融制度についてでありますが、制度資金は特定の政策目的を実現するため、一般の資金に比べ金利面等で優遇されていることから、借り受け者の事業計画については、一定の審査基準に沿って審査しておりますが、この際の書類の作成など申請手続については、これまでも随時簡素化に努めてきております。今後とも、制度資金が広く農業者に活用されるよう、手続面においても改善してまいりたいと考えております。 また、地域農業の中核となる農業者を支援するため、さきの十二月議会で低利な運転資金として、農業あきた緊急サポート資金を新設したところであります。また、十三年度から、設備資金であるスーパーL資金などを〇・五%の利率で融資する措置を講ずることとしておりますので、当面こうした制度資金を活用していただきたいと考えております。 次に、農地保有合理化事業についてでありますが、農家の負債整理に伴って放出される農地につきましては、遊休化することのないよう、地域の実情を十分に踏まえて、農地保有合理化事業を活用し、担い手への集積と有効利用を図ることが重要であります。そのため、県としては、県農業公社と賃貸案件を扱う農協等の合理化法人が連携を強化しながら相互に役割分担することによって、事業が効果的に展開されるよう指導してまいります。 また、このたび国が新たに設けることとした売買差損を補てんする事業につきましては、まだ詳細が明らかになっていないところでありますが、補てん対象額の算定上、農地価格に比べて小作料の実勢が割高になっている本県においては、ほとんどメリットがないことから、各県の実態に即したものとなるよう、国に対して要望してまいりたいと考えております。 なお、無利子資金の融資につきましては、今後の長期貸し付けを伴う農地売買の動向を見ながら活用を図ってまいります。 次に、米の生産調整についてでありますが、初めに、生産調整三十年の歴史については、米の生産調整は、昭和四十年代前半に発生した米の過剰問題に緊急に対応するため開始されて以来、現在まで約三十年にわたり実施されてきましたが、この間、単収の向上や消費の減退など米を取り巻く環境は大きく変化しており、生産調整の規模は拡大基調で推移する一方、対策自体の考え方も、当初の米の生産抑制を主眼としたものから、生産者や産地の主体的な取り組みによる水田の高度利用に重点を移行しております。これまで生産者の方々の御理解と懸命な取り組みにより、需給調整の面では一定の成果が得られたものと考えておりますが、需給環境の急激な変化により、生産調整目標面積がたびたび変わり、計画的な営農に支障を来すなど、水田の有効利用という点では必ずしも十分ではなかったものと感じております。現在の食糧法のもとでは、市場の動向を反映した価格形成が基本であることから、今後とも、生産者が需要に応じた米の計画的な生産と、水田を有効に活用した大豆・麦等の本格的な生産に腰を据えて取り組み、米と米以外の作物とのバランスのとれた水田農業経営の確立を図ることができるよう、県としても強力に支援してまいります。 次に、十二年度の市町村別生産調整目標面積についてでありますが、生産調整目標面積の市町村別配分に当たっては、従前の目標面積と連続性を保つことを基本にしており、昭和五十三年度から実施した水田利用再編対策以降、前年度の配分面積を基準とした方法で配分しております。平成十二年度においては、国から本県に対する配分面積が平成十年度の水準に据え置かれたことから、市町村に対する配分も三カ年間同様の面積となっております。 なお、市町村に対する配分に当たっては、毎年、市町村、農業団体等で構成される秋田県水田農業推進協議会を開催し、その協議により配分方針が決定されてきております。 次に、未達成地区の取り扱いについてでありますが、生産調整の実効を確保するためには、厳しい米の需給状況を生産者の方々が十分認識し、農業経営の維持・発展を図るためのみずからの問題として主体的に取り組んでいくことが基本であり、市町村段階においても、水田農業推進協議会等を通じた地域での調整活動を徹底することが重要であると考えております。本県においては、未達成地区はあるものの、一部を除き、市町村レベルにおいては目標が達成されており、生産調整の実効は確保されておりますが、特に生産調整の未達成が懸念される市町村については、直接現地を訪問し、関係機関と一体となった督励活動を行うなど、その確実な達成に努めております。 次に、地区達成加算についてでありますが、現在推進しております水田農業経営確立対策においては、米の計画的な生産を円滑かつ確実に実施するため、生産調整活動の基本的な単位を地区として定めており、地区の達成を要件として、国が助成体系上の優遇措置を講ずることはやむを得ないものと考えております。各地区においては、これを達成した場合のメリットとしてとらえ、生産調整の目標達成に向け、有効に活用していただきたいと考えております。 次に、直売活動に対する支援についてでありますが、現在、女性農業者を中心に取り組んでいる直売所は百五十三カ所、販売額は約十五億円、これに携わる農業者は四千人以上と年々増加傾向にあります。県内で一番元気なのが直売や加工活動に取り組んでいる女性農業者の方々であり、県としても大きな期待を寄せております。そのため、これまでの生産技術指導や消費者へのPR活動に加え、マーケティングを含めた経営指導も進めながら、新たに平成十二年度からは施設等の整備に対する支援も行っております。こうした直売活動は、女性農業者の自立や生産意欲の向上はもちろん、産地のPRや地域活性化にもつながるとともに、安全でおいしい食材を提供することにより、県民の健康づくりにも貢献することから、今後ともソフト面及びハード面からの総合的な支援を積極的に進めてまいります。 次に、麦、大豆の生産振興についてでありますが、本県の麦、大豆につきましては、水稲との二年三作体系による土地の高度利用を進めるための重要な作物として位置づけ、これまでも作付を積極的に推進してまいりました。麦については、東北二〇六号をめん加工用として奨励品種に、また、東北二〇五号をパン加工用の認定品種に採用し、これらの新品種を普及するため主要産地で実証展示を行い、栽培データを収集しておりますが、さらに県産小麦の品質を広くPRするとともに、新たな製品開発にも努めてまいります。 また、大豆については、現在、リュウホウ、タチユタカの二品種で全体の作付面積のおよそ九〇%を占めておりますが、これらの品種は成熟期が遅いことから、わせに近い有望ななかての品種を奨励品種にするため、現在、県農業試験場で現地試験を行っております。 なお、販売につきましては、生産者団体と加工業者等との直接的な契約販売や相対取引のほか、学校給食等を含め積極的な県内消費の推進に努めてまいりたいと考えております。 生産振興につきましては、地域における転作の実情に応じたとも補償に加え、作付の団地化や作業受委託等による経営規模の拡大に対する助成のほか、出荷前契約への助成など、地域の取り組みを関係機関、団体が一体となって支援しており、今後とも新産地や既存産地の拡大を図ってまいります。 次に、中山間地域等直接支払制度についてでありますが、この制度が今年度我が国農政史上初めて導入されたこともあって、地域の実情に即した対象農地の設定や、集落での共同活動等に対する合意形成に時間を要したことから、協定などの締結期限を延長するとともに、取り組みのおくれている市町村に集中的に指導を行うなど、極力多くの市町村、集落が本制度に取り組めるよう努めてきたところであります。その結果、実施面積は当初見込みに対して九割を超える実績となっておりますが、一部においては集落の合意が整わず、来年度に協定締結を繰り延べした集落もあることから、今後はこうした集落、市町村に対して、具体的な協定事例を紹介するなど、対象農地の拡大に努め、中山間地域における耕作放棄の発生の防止と、良好な景観づくり、都市農村交流等による多面的機能の増進を図ってまいります。 次に、めんこいなの種子流出防止についてでありますが、本県が開発しためんこいなについては、あきたこまちに偏った品種構成を是正するとともに、消費者ニーズの多様化などに対応するため、普及拡大を進めております。種子については、主要農作物種子法に基づき、県が原種供給を行い、指定種子生産圃場において優良な種子生産に努めておりますが、その供給については、県内の産地を育成することが最優先であることから、当面県外に供給することは考えておりません。 なお、めんこいなは、平成十年三月に種苗法に基づいて品種登録の出願申請し、現在登録を待っている段階でありますが、種苗法は平成十年五月に全面改正され、権利を侵害する者に対する差しとめ請求権や罰則規定が強化されたところでありますので、そうした権利侵害等が発生した場合は、育成者として同法の趣旨に照らし、厳正に対処してまいります。今後とも、秋田米の商品力の向上を図るため、めんこいながあきたこまちに次ぐ品種となるよう、生産振興に努めてまいりたいと考えております。 カドミウム汚染対策についてでありますが、本県ではカドミウムに汚染されている農用地を土壌汚染防止法に基づく対策地域に指定し、昭和四十八年から公害防除特別土地改良事業等により、恒久対策を実施してまいりました。さきに食糧庁が対策地域周辺を調査した結果、一部の地域の玄米から食品衛生法の基準値を上回るカドミウムが検出されたことから、県ではこの事実を重く受けとめ、汚染米の発生防止や流通防止について総合的な対策を講じることとしております。このため、本年度から、対策地域周辺等において実態調査を行っており、この結果を踏まえ、さらに客土等の恒久対策を実施することとしております。 なお、現在、恒久対策が実施できる地域は、制度上、玄米中のカドミウム濃度が一・〇ppm以上の地域となっておりますので、この基準に満たない地域も対象となるよう国へ要望しております。 三点目の田沢湖の水利権の更新についてでありますが、現在、関係者による玉川及び田沢湖の効率的水利用検討協議会が開催されており、平成十三年度末の再申請時までにはそれぞれが合意できるよう協議を進めてまいります。 また、申請者である東北電力株式会社に対しては、短縮した期間で許可申請をされるよう強く働きかけてまいります。 あわせて、水位変動の縮小や湖岸の改修により、田沢湖のすぐれた景観の保全がなされるよう努力してまいります。     [警察本部長(片岡義篤君)登壇] ◎警察本部長(片岡義篤君) 原議員から御質問のありました警察改革についての三点についてお答え申し上げます。 第一点目の要望、苦情等への対応要領についてであります。県民からの相談や要望、苦情等に対しましては、これまでは態様別に担当窓口を設けまして、分けておりましたけれども、県民の利便性を考慮し、三月の定期異動におきまして、担当窓口を集約した新たな体制と処理システムを確立するものであります。その体制は、警察本部に広報広聴課を新設して県民安全相談センターを置き、警察署にも広報広聴係と住民安全相談所を置いて、相談・苦情等に一元的に対応いたします。そして、本部の県民安全相談センターには、相談者に直接出向いて対応する体制をとるほか、警察署には担当の警察官と嘱託の専任相談員を増員配置し、迅速適切に処理するものであります。 なお、苦情処理システムといたしましては、公安委員会に対する文書での苦情につきましては、警察施設のどこででも受理することとし、申出書作成に際しましては作成の援助をするなど、申出人の便宜を図るほか、処理結果等につきましても文書で回答することといたしております。また、警察あての苦情につきましては、受理段階から本職に報告の上、適切に処理することといたしております。 第二点目の警察署協議会についてであります。警察署協議会は、昨年改正された警察法にその設置が規定され、これにあわせて条例を定め、本年の六月一日から施行することといたしております。警察署協議会は、住民の代表で構成し、警察署長の諮問に応じ、警察署の業務運営に関して意見を聞くための機関であり、設置の趣旨を踏まえ、県内の全警察署に設置するものであります。 委員の選考に当たりましては、公正な人選に配慮し、また、業務運営に広く民意を反映させる観点から、自治体や団体等からの推薦を参考にするほか、公募制の導入、女性の登用を積極的に推し進めて候補者を選考し、公安委員会が委員を委嘱するものであります。 なお、各協議会における委員の数は、会議を円滑かつ効果的なものとするため、最低の数を五人、最高を十四人とし、県内の総数は百二十人を予定をしてあります。 同協議会におきましては、署長が警察署の年間業務計画や一定期間の業務等につきまして説明をし、これらを審議することとしており、開催時期としてはおおむね四半期ごとをめどに開催する予定であります。 第三点目の職員の意識改革についてであります。新たな体制や制度を確立し、これを真に機能させるには、職員一人一人の意識改革が必要であります。これまで個々具体的な指示・教養や研修を行い、浸透状況を検証するなど、職員が一丸となりましてその徹底に取り組んでいるところであります。また、組織的に職員の職務責任の明確化を図るため、名札と識別章を着用させることにいたしております。名札につきましては、本年四月から各種の窓口担当職員に着用することとしているほか、識別章につきましては、本年の二月から六月までの間、県内三署を指定して試行実施し、来年度から本格的に実施する予定であります。この施策は職員の意識改革にも大きく寄与するものと考えております。県民のための警察として機能するべく、今後とも秋田県の実情と将来展望に立った改革を推進し、県民の期待と信頼にこたえていく所存であります。 ○議長(安杖正義君) 二十五番原君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。 △午後二時五十六分休憩 --------------------------------------- △午後三時十五分再開    出席議員    四十四名      一番  加成義臣      二番  安藤 豊      三番  土谷勝悦      四番  菅原龍典      六番  工藤任国      七番  栗林次美      九番  川口 一      十番  安杖正義     十一番  宮腰 誠     十二番  樽川 隆     十三番  平沢健治     十四番  小番宜一     十五番  村上 薫     十六番  小田美恵子     十七番  武田英文     十八番  金谷信栄     十九番  鶴田有司     二十番  冨樫博之    二十二番  穂積 志    二十三番  小田嶋伝一    二十四番  野原多津美   二十五番  原 盛一    二十六番  大野忠右エ門  二十七番  木村友勝    二十八番  加藤義康    二十九番  佐藤健一郎     三十番  中泉松之助   三十一番  佐々木長秀    三十二番  伊藤万治郎   三十三番  長谷部 誠    三十四番  能登祐一    三十五番  鈴木洋一    三十六番  菅原 昇    三十七番  大里祐一    三十八番  工藤 嘉左衛門 三十九番  津谷永光     四十番  北林康司    四十一番  児玉 孝    四十二番  山田靖男    四十三番  佐藤次男    四十四番  藤原俊久    四十五番  辻 久男    四十七番  柴田康二郎   四十八番  北林照助---------------------------------------     地方自治法第百二十一条による出席者          休憩前に同じ--------------------------------------- ○議長(安杖正義君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第一、一般質問を継続いたします。三番土谷勝悦君の一般質問を許可することにして御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり] ○議長(安杖正義君) 御異議ないものと認めます。三番土谷君の発言を許します。     [三番(土谷勝悦君)登壇](拍手) ◆三番(土谷勝悦君) 県民クラブの土谷でございます。 この壇上に、健康にも恵まれ無事立たせていただいたことに、ふだんお世話になっている先輩、同僚の皆様のおかげと感謝申し上げます。 二十一世紀の幕が開かれました。秋田県の未来が光輝く二十一世紀であってほしい、自然豊かな、心豊かなふるさと秋田であってほしいと私は願っております。 あきた21総合計画がスタートダッシュしたばかりです。首長として、「時と豊かに暮らす秋田」、未来が輝けるような夢の持てる県土づくりの責務が今後も知事にはあると考えます。そのことを踏まえて、二回目の一般質問をさせていただきます。 まず初めに、危機管理体制の構築について質問いたします。二月十日、全世界が震撼する事故のニュースが駆けめぐりました。言うまでもなく、愛媛県宇和島水産高校のマグロはえ縄漁実習船「えひめ丸」とアメリカ海軍の原子力潜水艦「グリーンビル」との衝突事故であります。「えひめ丸」の乗員三十五名のうち、今もって九名の乗組員、教官、生徒が行方不明となっており、捜索が続けられております。被害に遭われた方々とその関係者の方々の苦衷を察すると、深い悲しみを覚えるものであります。 この事故の原因や、日本政府、特に危機管理のトップである森総理大臣のとった行動には、国民の批判が集中しております。我が秋田県にも県立海洋技術高校の実習船「船川丸」があり、事故当時、同じハワイ沖で実習しており、一時捜索に向かったとの報道もありました。今回の「えひめ丸」の信じられないような事故については、同じ海洋実習船「船川丸」を持つ我が県としては、深刻に考えさせられる問題であると思われます。危機に遭遇したとき、既存組織のほころびや欠陥が露呈すると言われております。県では、新年度に総合的な危機管理体制を構築し、対応マニュアルを作成するとのことですが、今回の事故を踏まえて、どのような危機管理体制の構築をなされるのかお伺いいたします。 次に、秋田県地域防災計画について質問いたします。県では、平成十年度に、秋田県地域防災計画の一般災害対策編、震災対策編及び資料編を作成しており、また、平成十二年度版として災害通報ハンドブックも作成しております。平成十二年度には、県の第二庁舎内に防災の拠点として消防防災センターが設置され、常設の災害対策本部室と、県内百二カ所の市町村及び消防本部等の端末局を衛星通信システムでネットワーク化し、高機能情報機器や映像機器を整備しました。これにより、迅速な災害情報の収集、処理、分析及び災害支援などの総合的な対応ができることになり、いろいろな災害に対応、あるいは克服するための県の防災体制は着実に整えられてきていると思います。しかしながら、私も現役の消防団員として不安に感じている部分がありますので、その事柄について質問いたしたいと思います。 初めに、震災対策についてであります。一九九五年--平成七年に、兵庫県南部地震による阪神・淡路大震災が、神戸市を中心に、兵庫県南部、淡路島北部、大阪市西部、そのほかで六千数百名の死者、四十万軒を超える家屋等の被害という戦後最悪の被害をもたらしております。この地震はマグニチュード七・二の大都市直下型であり、地震による構造物の倒壊等に加えて、火災が発生し、地震直後の人命救助、消火活動を初め、その後の被災住民に対する救援活動に至るまで、官民挙げて災害活動が展開されました。 秋田県では、平成十年に、阪神・淡路大震災の教訓に基づく国の災害関係法令の改正、防災基本計画の修正、さらには県の地震被害想定調査を踏まえ、災害対策基本法第四十条に基づく秋田県地域防災計画の一つである総合地震対策編を策定しました。これによると、県、市町村、指定地方行政機関、指定地方公共機関等の防災関係機関が、その有する全機能を有効に発揮して、各地域における震災対策を実施することにより、県民の生命、身体及び財産を保護することとなっております。いずれにしても、地震発生時には国、都道府県、市町村を初め防災関係機関がその総力を挙げて対策をとるということになると思います。県の地域防災計画と市町村地域防災計画との関係は、県の計画が広域の総合調整機能を中心とした基本計画であるのに対して、市町村の計画は住民に直結した具体的な防災活動計画という性格で、相互に補完関係を有しております。防災計画の実際の運用に当たっては、両者が有機的に作用して初めて防災対策が効果的に推進されるものとなっております。市町村には、広域、あるいは単独で常備消防員が配置され、また、各市町村ごとに消防団が組織されており、さらに町内会などで組織された自主防災組織も地域の安全を守るため活躍しております。 平成十二年四月一日現在、広域及び単独設置の常備消防員は全県で千九百五十名で、各市町村で組織する消防団員は全県で二万四百九十三名となっております。各市町村の消防団は、火災時の消火活動や人命救助などを行い、平時は集落・地域の安全を守り、防災に関する啓蒙治動を行ったり、訓練大会などを通じて災害時の対応訓練や自己鍛錬をしております。私も、消防訓練大会や水防訓練大会、あるいは県民防災の日の訓練などを行い、充実した活動をしております。しかしながら、いろいろな訓練を通して一番感じることは、もし阪神・淡路大震災のような大地震が起きたとしたら、消防団としてどのような活動・行動をすべきかということです。消火活動、人命救助だけではなく、失火防止、避難誘導、情報収集など、さまざまな問題への対応が必要になることが予想されます。 各市町村の防災計画は、県の防災計画をもとに計画が立てられているものと思います。その防災計画が果たして全県の消防団にまで浸透しているのか、そのことに対して不安を感じております。各市町村は、基礎的な地方公共団体として、市町村の地域と市町村民の生命、身体及び財産を地震災害から保護するため、関係機関及び他の地方公共団体の協力を得て、市町村の地域防災に関する計画を作成し、これを実施する責務を有することになっております。しかしながら、大規模な地震に対しては、いつ、いかなるときに発生するのかもわからず、阪神・淡路大震災のような経験を持つ人は、消防団の中ではおらないものと思われ、どのような活動をすべきか明確ではありません。秋田県沖には地震の空白域があり、将来的に地震が起こる可能性があると言われております。非常時の場合、一番に信頼され、さまざまな活動を期待されるのが消防団であると私は思います。「備えあれば憂いなし」との言葉もあります。もしもに備え、大地震が発生した場合、県、市町村、各関係機関及び消防団がそれぞれどのような役割を果たすべきか。とりわけ消防団はどうすべきか、どのような活動・行動を心がけるのか、それらの総合的なマニュアルの作成をすべきであると考えます。秋田県の防災計画は、連絡網の整備に関しては着実に進んでいると思いますが、災害時対策に関してマニュアルを作成し、一歩踏み込んだ対策を講ずるべきと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。 また、秋田県地域防災計画の中で、医療救護体制についてさまざまな計画や対策がなされておりますが、大規模災害時において、災害救急医療情報システムや基幹災害医療センター等とのネットワークは万全なのか、また、医療現場での防災行動マニュアルはつくられているのか、地域救急災害医療協議会ではどのような話し合いがなされているのか、お伺いいたします。 一方、防災に関する県民の皆様の備えについては、県消防防災課のまとめたアンケートではまだまだ不十分と聞いております。それについて対策はどのようになされるのか、知事のお考えをお聞かせください。 次に、地震などにより、さまざまな災害が予想されるわけですが、秋田県地域防災計画では、地域住民などによる自主防災組織をつくり、平常時及び災害発生時において活動を実施するとあります。組織づくりには、町内会などの自治会、婦人団体、青年団体、PTAなど地域で活動している組織を活用して自主防災組織として育成するとあります。しかし、自主防災組織及びボランティアの方々が人命救助や災害活動を行った場合、けがなどされる事態が十分予想されます。消防団員の場合は、各自治体が保険加入するなどして保障されておりますが、自主防災組織や県内外のボランティアの方々の活動において事故が発生した場合、どのように対処するのか明確にすべきと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、被災者生活再建支援法が平成十一年四月にスタートしております。平成十二年十月に国会議員の超党派で結成する自然災害から国民を守る国会議員の会の被災者住宅再建促進小委員会が被災者住宅再建支援法案(仮称)骨子(案)をまとめ、国土庁では被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会を設置し、住宅支援のあり方について総合的な見地から検討を重ね、報告書を発表していると聞いております。そして、全国知事会においても検討しているとのことですが、知事はそのことについてどのようなお考えなのかお伺いいたします。 次に、水防訓練について質問いたします。水防訓練は、各地域ごと全県八カ所で毎年開催されております。融雪、大雨、集中豪雨等により、河川、ダム、ため池等の施設が決壊、または破損した場合、大災害となるおそれがあることから、施設の管理者及び水防管理団体は、管理計画及び水防計画に基づいて水防要員の確保と水防資機材の備蓄に努めるとともに、ダムの建設、未改修河川の整備促進を図ることとなっております。本県の河川は、一級河川では、雄物川、米代川及び子吉川水系の本川、支川合わせて二百九十七河川あり、二級河川では、馬場目川水系ほか二十一水系の五十一河川があり、総延長が三千百八十九・八キロメートルとなっております。緊急時に住民の安全を守り、土地の流失を防ぐために、水防団及び各関係機関の働きが非常に大切であると思われます。水防訓練には、国--国土交通省東北地方整備局の各工事事務所、秋田県--地方建設事務所及び市町村並びに水防団が一体となり行うことになっております。訓練内容は、実際の被災を想定して、木流し工法、シート張り工法、積み土のう工法及び川倉工法などが行われております。 そこで質問になりますが、建設大臣の諮問機関である河川審議会は、河川改修を中心に行われてきた我が国の治水対策について、都市化や異常降雨の頻発により、これまでの対応では限界が生じている地域があるという前提に立って、通常の河川改修に加えて、治水対策のメニューの多様化により、流域全体で効果的な治水対策を講ずるべきとする提言をまとめ、建設大臣に中間答申しております。このような治水対策の転換を踏まえ、県内においても、今後各河川の既存治水計画の見直しなどを行うことになろうかと思いますが、そのお考えをお聞かせください。 それと、私にはどうしても納得のできないことが一つあります。水防訓練において、各市町村から精鋭の水防団が出場し、各工法を行う際、水防訓練進行要領に沿って進められることになります。各市町村から参加する水防団は、実際には自治体消防団であり、ボランティア的な活動集団であると認識しております。訓練進行の際、実施部長が号令を発し、総指揮者がそれを受け、各作業隊長を通して水防団が作業をすることになります。号令を発する実施部長は秋田県職員、それを受ける総指揮者以下水防団は消防団員であり、実施部長が「〇〇水防団は出動せよ」、また、「各作業隊は〇〇工法を実施せよ」と号令をかけます。私は、この「せよ」と言われる号令に、物すごい抵抗を覚えるものであります。緊急時には、機敏な行動が求められ、短い速やかな号令が必要とは思いますが、あえて言わせてもらうならば、県の職員がボランティア活動をしている各自治体の消防団員に対して「何々をせよ」と号令をかけるのは、礼を失するものと考えます。現代にマッチした言葉とも思われません。消防団では、組織活動の効果を上げるため、指揮、命令、服従、職掌関係を明確にするために号令をかけるのは当然だと思います。長年行っている水防訓練進行要領ですので、各関係機関との協議も必要と思われます。しかし、県では、自立とパートナーシップを基本的な視点として、あきた21総合計画を策定し、ボランティア、NPO、企業など、多様な主体が自立しながら対等な立場で役割分担に応じて協力・行動する施策を進めているのですから、これら時代の潮流に合うように見直しを検討できないものかお伺いいたします。 次に、農業について質問いたします。平成十一年七月に食料・農業・農村基本法が成立し、七月十六日公布・施行され、これを受けて、水田を中心とした土地利用型農業活性化対策大綱が公表されました。県においても、平成十二年三月に新世紀あきたの農業・農村ビジョンが示され、二十一世紀における新たな農政の展開方向としての施策体系、農政ビジョンにおける施策ごとの主要事業概要、個別事業の概要など、これからの秋田県農業の道しるべが示されております。 それから一年になります。秋田県農業の中で一番の中心となる稲作--米の状況については、平成十二年度産米が作況指数一〇一の平年並み、全国でも指数一〇四のやや良となり、本来であれば安堵するところでありますが、平成十三年度産米の都道府県別生産調整目標の面積の配分は、本県では四万二千四百七十六ヘクタールで、現行の転作面積より三千九百三十三ヘクタールの拡大となり、平成十三年度だけの緊急拡大措置とはいえ、秋田県で生産調整が始まって以来の最大の転作率となります。また、豊作が見込まれる場合に、作況指数に応じてなされる需給調整水田も、県内配分二千五百九十五ヘクタールが示され、稲作経営農家にとっては、この政策は死活問題であると言っております。生産調整に協力することにより、米価の価格安定を望んでいるにもかかわらず、転作はふえるし、米の価格は下がるという状況であり、稲作農家にとっては最悪であります。県は、転作拡大に対する農家支援策として、新たに農家に対する助成措置の拡充などを柱とする水田農業経営強化対策を示しており、そのことに関しては評価できるものと私は思いますが、国の農業に対する施策や姿勢には温かさが感じられません。農業の抱えている問題として、将来の農業の進むべき道が見えない、そのことが農家の一番の不安かと思います。このことについて、どのようなお考えなのか知事にお伺いいたします。 次に、本県では、あきた21総合計画の一環として新農政ビジョンが策定され、平成十二年四月から実施されております。新農政ビジョンでは、二十一世紀における新たな農政の展開として、盛りだくさんの農業施策が示されております。二十一世紀の秋田県農業のスタートは、未来に向かって輝けるものでありたいという思いがこの施策に込められているように思いますが、現実は大変厳しいスタートであると言わざるを得ません。食料・農業・農村基本法が制定され、これまでの農業生産性の向上と農家所得の向上という農家経営中心から、食料の安定確保、農業の多面的機能の重視、農業の持続的発展、農村の振興などについて消費者の理解を求めることや、食料自給率の向上、日本型食生活への普及などに方向が変わっております。 しかしながら、農家は農業経営を通じて生活基盤を築いていかなくてはなりません。稲作を初め複合経営部門で、青果物、花卉、畜産、あるいは農産物に付加価値をつけて販売したり、女性農業者や高齢者の方々の農業への取り組みなど、さまざまなことで生活を守ろうとしております。東北農政局秋田統計事務所と県統計課が発表した二〇〇〇年世界農林業センサスによると、県の農業集落数は二千五百四十二集落で、平成二年調査から八十集落減っており、また、県内の総林家数は二万八千七百三十七戸で、平成二年調査から百一戸減っております。いろいろな施策がとられているところですが、農家や林家が耕作地や山を守らなければ、この自然豊かな秋田県を守ることができないことになります。農家が収入を得るための生産性の拡大や所得の向上を図ることが中心だった農業政策から、農業の多面的機能の重視や、自然や景観を大切にしたグリーン・ツーリズムの推進などへ農業政策の方向が変わったことにより、県としてどのような指導施策を講じていかれるのか、また、収入を得るための施策と基本法とのバランスをどのように考えているのか、お伺いいたします。 次に、松くい虫対策について質問いたします。松くい虫は、昭和五十七年に初めて被害木が象潟町で確認され、平成十二年には四十九市町村に被害が拡大しております。平成十一年及び十二年には、夏の猛暑により、本荘由利海岸や男鹿半島で甚大な被害が発生しております。内陸でも、公園、ゴルフ場やその他の松林などでも被害が見られ、被害の拡大が心配されます。特に海岸松林については、防風・飛砂防止など、地域住民の生活に欠くことができないものがあり、その保全のためにも松くい虫の阻止ができないものか心配しております。私が所属する農林水産委員会でも、平成十二年十二月二十二日に、松くい虫による被害状況を確認するため、秋田市から本荘、由利地区にかけて海岸松林を視察いたしました。松くい虫による松の赤枯れの被害は予想以上にひどく、深刻さを実感いたしました。 平成十二年度松くい虫対策関連予算が約九億円で、平成十三年度では約十億円の予算案が計上されております。防除対策として薬剤散布や薬剤樹幹注入、伐倒焼却など、県としてもさまざまな対策をとってはおりますが、それにしても被害が大き過ぎると思います。これについてはいろいろな原因が考えられます。地球温暖化などによる松くい虫の北上、夏の高温による異常発生、天敵の減少などがあります。平成十一年度には、本県の稲作がカメムシによる多大な被害を受け、また、水田にはイナゴなどもふえてきており、この数年、昆虫が異常繁殖しているようにも思われます。農林水産委員会では、本年二月七日に、国に松くい虫対策に関する陳情を行っております。今後は、秋田県からSOSを発して、広く国内の研究機関から松くい虫に対する防除の知恵をかりるなど、対策をとっていかなければならないように思います。また、視点を変え、国内だけでなく世界じゅうの自然学者や昆虫学者などの方々から協力を得るのも一方策かと思われます。県として、今後どのような対策をとられていくのか、お伺いいたします。 次に、健康長寿社会について質問いたします。県では、あきた21総合計画において、県民の健康長寿を目指し、健康づくり対策の推進をしているところでありますが、県の高齢化率は二〇〇〇年で二三・四%であり、将来の推計として二〇一〇年には二七・五%、また、二〇二〇年には三二・六%の高齢化率が見込まれ、二〇二〇年には全国第一位になるとの予測がなされております。高齢化を踏まえての長寿社会への対応は、国でも二十一世紀における国民健康づくり運動として、健康日本21のキャッチフレーズのもとに、「すべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会の実現を目指す」とあり、その実現のために、個人の健康観による一人一人の主体的な取り組みと、こうした個人の力と、あわせて社会全体が個人の主体的な健康づくりを支援していくことが重要とされています。特に健康を増進し、発病を予防する一次予防に重点を置く対策を強力に推進し、健康寿命の延伸を図るとしております。…… ○議長(安杖正義君) 三番土谷議員に申し上げます。申し合わせの時間に達しましたので、結論を急いでください。 ◆三番(土谷勝悦君) はい、わかりました。 そこで質問になりますけれども、現在高齢者が楽しんでいるスポーツいろいろさまざまございますけれども、特にこのごろはグラウンドゴルフへの高齢者の参加人口も多いと聞いております。終わった後での反省会でゲームの流れなどを話している皆さんの目の輝きを見ると、スポーツは精神的な生きがいとなる上、健康増進に大いに結びつくものと思います。全県ではこれらのスポーツができるグラウンド等はまだまだ少ないと思います。そこで、県として、魅力のあるグラウンドづくりや場の提供ができないものかお伺いいたします。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(安杖正義君) 県当局の答弁を求めます。     [知事(寺田典城君)登壇] ◎知事(寺田典城君) 土谷議員の御質問にお答えいたします。 最初の危機管理体制の構築についてでありますが、このたびのハワイオアフ島沖における「えひめ丸」の海難事故につきましては、行方不明となっている生徒や乗組員への思いが日増しに募るのでありますが、事故に遭われた方々や家族の皆様、さらには宇和島水産高校や愛媛県関係者の御心痛や御労苦はいかばかりかと推察いたしております。迅速な救助活動や的確な情報収集などが、このような事故においてはいかに大切であるかを改めて痛感したところであります。 社会が複雑多様化するに伴い、かつての安全神話が崩壊し、東海村の核燃料加工工場における臨界事故や大阪における乳製品の大規模な食中毒事件など、予測困難なさまざまな重大事件や事故が突如として現実のものとなる今日、災害のみならず幅広い危機管理体制を早期に拡充整備する必要があると考えております。危機管理の要諦は、的確な予防、周到な準備、迅速な応急措置及び復旧、再発防止にありますが、特に現場状況を一刻も早く把握し、速やかな行動を起こすことが肝要であります。こうした観点から、当面の措置として、単一部局で対応できない規模の事件・事故に際し、中核的役割を担う危機管理監を昨年任命するとともに、危機管理のあり方についての検討準備に着手したところであります。来年度は、早い機会に対処方針案を取りまとめ、関係各方面の意見を参考に、組織体制のあり方、それぞれの危機管理計画及び危機対応マニュアルの策定などについて、年度末を目途に具体化してまいりたいと考えております。 また、危機管理においては、国、市町村、民間など関係機関相互の連携が不可欠でありますので、庁内の体制整備にあわせ、これら関係機関との合意形成や協定締結に向けた取り組みを進めてまいりたいと思います。 二点目の秋田県地域防災計画についてでありますが、初めに、震災対策については、県では、震災対策について、平成七年の阪神・淡路大震災の教訓に基づき、地域防災計画の中に、県、市町村、防災関係機関等のそれぞれの責務と処理すべき業務を明示するとともに、市町村については、日ごろからそれぞれの市町村防災計画に基づき、地域の実情を十分に反映した防災対策を講ずるよう指導しているところであります。 また、消防団活動を含めたマニュアルの作成については、関係機関や地域住民が一体となってきめ細かな対策を講じる必要があることから、それぞれの市町村が実情に合ったものを作成することが実効的と考えておりますので、県においても、市町村が作成するマニュアルの参考となる指針の作成について、今後、市町村や消防本部などの協力を得ながら検討してまいりたいと考えております。 大規模災害時における医療救護体制の確保については、平成八年度に秋田県災害医療救護計画を策定し、これに基づき、災害・救急医療情報センターに医療情報システムを確立するとともに、病院防災行動マニュアルや災害拠点病院の医療救護活動に関するガイドラインなどを作成し、その周知徹底に努めております。また、各健康福祉センターにおいては、災害医療対策の一層の強化のため、地域の災害医療関係者による連絡協調体制のあり方などについて、検討を深めているところであります。 県民の防災への備えについては、何よりも意識の啓発が重要であり、これまでも市町村や各機関等とも連携し、各種手段、方法を駆使してその啓発活動に力を入れてまいりましたが、今後も多くの機関等の協力を得ながら、県民防災の日、県民防災意識高揚強調週間を初め、あらゆる機会を利用して、一層県民に呼びかけてまいりたいと考えております。 次に、自主防災組織等の活動対策についてでありますが、自主防災組織は専ら自分たちの地域は自分たちで守ろうとする自衛的な組織であり、災害発生時に市町村長から消火活動や救急活動などに従事するよう要請され、その活動中に死亡、あるいは負傷した場合は、消防団員と同じく公務災害補償に関する条例に基づき損害補償を受けることができます。一方、ボランティアの方々については、こうした災害救援活動中に不幸にも事故に遭った場合の補償制度として、全国社会福祉協議会が一括して保険会社と締結しているボランティア保険があります。県では、現在、この保険の掛金の一部を助成するとともに、ボランティア活動する際には、県及び市町村の社会福祉協議会を通じて、ボランティア保険へ加入するよう呼びかけているところであり、今後も引き続きその普及に努めてまいりたいと考えております。 次に、被災者の住宅再建支援のあり方についてでありますが、大規模災害時における被災住宅の早期再建のための支援は、被災者の自立した生活の開始、被災地全体の復興を図るに当たっての重要な課題であると認識しております。そのため、現在、全国知事会等で被災者の住宅再建支援の方策について検討しているところでありますが、財源の確保について多額の公的負担が伴うこととなっていることから、さらに議論を深めていく必要があると考えております。 次に、治水計画の見直しについてでありますが、本県では、快適で安全な生活を支える環境づくりの中で、災害に強い県土づくりを目指して、現在整備を進めているダムや築堤などの河川改修を引き続き着実に実施することとしております。今後、河川整備計画の策定に当たり、地域や河川の特性に対応した、より効果的なハード事業に加え、ホームページ美の国秋田ネットを活用した河川情報の提供を行うほか、洪水ハザードマップの作成・公表等のソフト事業を進めるなど、河川審議会の答申内容を十分反映するよう努めてまいりたいと思います。 次に、水防訓練進行要領の見直しについてでありますが、水防活動は、水防法に基づき行うものであり、本県では消防団が行っているのが実情であります。平成十一年に開催された秋田県消防大会において、水防訓練が迅速かつ整然と行われるよう、消防庁作成の消防訓練礼式の基準並びに消防操法の基準を準用するように決議がなされ、財団法人秋田県消防協会会長より要望がありました。県としては、この要望を受けて、標準的な進行要領を定め、水防訓練を実施しているところであります。水防活動は緊急時に対応するものであることから、水防訓練もこのような状況を想定して行っておりますので、今後とも関係者の理解と協力を得ながら実施してまいりたいと思います。 三点目の農業についてでありますが、初めに、水田農業の推進方向については、米の需給不均衡による生産調整規模の拡大や米価の低落などにより、稲作農家においては、経営の悪化や営農意欲の減退が懸念されておりますが、米の潜在生産力が需要を大きく上回っている需給事情のもとにおいては、すべての水田において米の生産を行うことは経営の選択として困難であり、農業所得の拡大を図るためには、稲の作付を行わない水田を有効に活用して、売れる作物づくりに真剣に取り組まなければならないと考えております。こうしたことから、現在実施しております水田農業経営確立対策においても、需要に応じた米の計画的な生産と、大豆、麦等の自給率の低い土地利用型作物の本格的な生産により、米と米以外の作物を適切に組み合わせた農業経営の確立を図ることとしており、県としても、大豆等の団地化や担い手への作業の集積、収益性の高い野菜や花卉等の振興などを積極的に推進しております。 また、稲作農家の経営の安定を図るため、現在、国においては、新たな経営所得安定対策を検討しておりますが、県としても、生産調整の拡大に伴う負担軽減や稲作経営の安定を図るため、水田農業経営強化対策を取りまとめ、緊急に具体策を実施することとしております。 さらに、経営規模の拡大や市場ニーズに対応した新品種の開発、直播等の定着・普及による低コスト化等を強力に推進し、本県の稲作農家が市場対応型の活力のある経営体として自立できるよう、市町村、農業団体等と一体となって取り組んでまいりたいと考えております。 次に、食料・農業・農村基本法のもとでの農業・農村施策についてでありますが、新しい基本法では、低下し続ける食料自給率の向上や国土・環境の保全といった農業・農村に対する期待を踏まえ、農業者だけでなく、消費者、国民の視点からも農業・農村の役割、位置づけを明らかにするため、食料の安定供給の確保や多面的機能の発揮など、旧基本法にはなかった理念を掲げております。しかしながら、食料の安定供給は国内の農業生産の増大を基本としていること、多面的機能は適切な農業生産活動によってその機能が十分に発揮されるものであることなど、新しい理念の実現には農業の持続的な発展がその根幹に据えられております。本県が策定した農業・農村ビジョンにおいても、その考え方は基本法と同じであり、本県農業を持続的に発展させていくためには、農業所得の拡大と生産性の向上が何よりも重要であり、今後とも農政推進のかなめとして取り組んでまいります。 同時に、農業・農村の持続的な発展を図るには、農業の構造改革や生産性向上に加え、これらを補完するために今年度から実施しております中山間地域等直接支払制度など、新たな理念を反映した農業支援策を講じていく必要があると考えております。こうした施策は、農業・農村が果たしている多様な役割について、広く県民、国民の理解が得られることが前提となりますので、県としてはその醸成に農業者や農業団体と一体となって積極的に取り組んでまいりたいと思います。 四点目の松くい虫対策についてでありますが、本県の松くい虫被害は、発生以来十九年に及びますが、これまでの懸命な防除により、平成八年をピークに減少傾向になったものの、ここ二年連続の猛暑により、海岸部を中心に再び拡大しております。このため、今後の防除に当たっては、日本海特有の強風から県民の生活を守るなど、将来にわたって保全していくことが必要な松林について、国や市町村と連携を図りながら重点的に防除することを基本とし、薬剤散布や樹幹注入の拡大などにより、その保全を図ってまいります。 また、甚大な被害が発生している男鹿地区においては、防風保安林等の指定を進めながら、県営事業による被害木除去や樹種転換等に取り組むこととしております。 一方、県北部への被害拡大を阻止するため、八竜町の海岸線から琴丘町の内陸部にかけて約二キロ幅の重点防除帯を設け、無人ヘリコプターによる徹底した薬剤散布などによって、新たな侵入を防いでいくこととしております。 さらに、国で育成した抵抗性松の試験植栽を海岸部を中心に実施するほか、県森林技術センターが国や各県と連携しながら進めている抵抗性品種の早期育成に努めてまいりたいと存じます。 こうした対策のほかに、地域住民やボランティアの方々の参加のもと、松林保護の気運を醸成し、その理解と協力をいただきながら、地域と一体となった防除対策を進めてまいりたいと考えております。 五点目の健康長寿社会に向けた高齢者のスポーツの普及と環境整備についてでありますが、高齢者が元気に活躍できる環境づくりを進めていく中で、スポーツなどの運動を生活習慣として身につけることは、高齢者の健康づくりや生きがいづくりに大きく役立つものと考えております。現在、県では、健康秋田21計画の策定作業の最終段階を迎えておりますが、身体活動・運動、休養部会においても、スポーツなどで酸素を取り込むことは、心肺機能を丈夫にし、全身の持久力を高め、生活習慣病の予防にも大きな効果があるものとされております。特に、身体活動の不足しがちな高齢者が運動の習慣を身につけることは、一次予防として健康増進に役立ちますので、高齢者が身近なところでスポーツやウォーキングなどを行える環境を整えていく必要があると考えております。高齢者が中心となったニュースポーツヘのニーズは年々高まっておりますが、あきた21総合計画の柱の一つとなる、楽しさはずむスポーツ王国づくりに向け、各種ニュースポーツの講習会の開催や指導者の養成に取り組むとともに、全国ねんりんピックへの参加促進に加え、生涯スポーツの祭典となるスポレクフェスタあきたの平成十四年度開催に向けて準備を進めております。 こうした中で、特に一定の規模の用地を必要とするグラウンドゴルフにつきましては、現在、市町村において専用グラウンドが十三カ所整備され、県においても田沢湖スポーツセンターなどを開放し、大いに活用されており、今後このスポーツヘの人気も高まってくると思っております。このため、既存のスポーツ施設や公園、広場の活用を図るとともに、市町村と連携しながら、新たなスポーツ施設への併設等についても取り組んでまいりたいと考えております。 また、明年度には、健康長寿・遊・学アクションチームをチーム21の一つとして発足することとしておりますが、高齢者のスポーツを通じた健康づくりという視点に立って、ニュースポーツに触れ合いの場の創出や支援策等について具体的に検討してまいりたいと考えております。 ○議長(安杖正義君) 三番土谷議員の質問は終わりました。 以上で一般質問を終了いたします。 次に、日程第二、高等教育に関する特別委員会調査事項経過報告の件を議題といたします。 高等教育に関する特別委員長の発言を許します。     [四十番(高等教育に関する特別委員長北林康司君)登壇] ◆高等教育に関する特別委員長(北林康司君) 高等教育に関する特別委員会の付託事項について、調査の経過を報告申し上げます。 当特別委員会は、人口減少や多様化する学習ニーズ、国際化の進展など、高等教育機関を取り巻く情勢の変化などに対応し、将来を見据えた高等教育機関の整備充実に関する事項について調査・検討するため、平成十二年十二月十九日に委員十二名をもって設置されたものであります。 本委員会は、これまで閉会中に五回の委員会を開催し、付託された県立大学、国際系大学及び看護・福祉系大学等高等教育に関する事項について精力的に検討を重ねてまいりました。 調査に当たっては、まず、昨年三月に秋田県高等教育推進懇談会から提言されました「秋田県の今後の高等教育のあり方について」に沿い、本県の高等教育機関を取り巻く情勢の変化、本県の高等教育の現状、さらに本県の高等教育機関が取り組むべき事項と施策の方向などについて、関係当局の説明と資料提出を求め、これらを踏まえながら、本県の高等教育全般に関する現状と課題の把握に努め、活発な意見交換を行ったところであります。 以下、当委員会におけるこれまでの主なる意見を申し上げます。 第一に、県立大学を含めた将来の高等教育全体のあり方についてでありますが、十八歳人口が確実に減少し、既存大学が危機感を抱いている中で、県は大学間連携により県内高等教育機関全体の充実・強化を図るとしておりますが、各大学の現状や課題の把握のための意見交換などを十分に行い、将来の高等教育機関全体の具体的な姿を早急に提示する必要があるのではないか。とりわけ、本県においては、進学率及び県内大学への進学率のいずれにおいても全国平均との格差が大きく、学部学科構成においても偏りが見られることから、若者の定着を図るという県としての政策課題解決の立場からは、アンケートで希望の高い分野とのかかわりや、就職との関連も考慮した学部学科の整備について検討していくことが必要であるとの意見がありました。 第二に、看護・福祉系大学についてでありますが、介護保険制度の実施や高齢化の進行に伴い、看護・福祉系職員に対して、より高い教養と資質がますます求められる傾向にあり、そうした人材育成のため、四年制大学への社会的要請がこれまで以上に大きくなってきている。また、看護・福祉系四年制大学が設置されるとした場合、非常に多くの高校生が進学を希望しているというアンケート結果も整備の必要性を物語っていることから、看護・福祉系高等教育機関の整備に向けて、早急に検討に着手するべきであるとする意見と、一方で、看護・福祉系の県立の四年制大学の必要性を検討する際には、受け入れ側である病院などの需要はあるのかという問題や、県内の既存の国立や私立などの教育機関が四年制大学化を図ろうとする状況などによっては供給過剰も懸念されることから、県内の看護・福祉系高等教育機関全体を見渡した議論が必要であるなどの意見が示されました。 最後に、国際系大学についてでありますが、県では、昨年十一月に国際系大学の創設についての基本的な考えを示したところでありますが、これに対し委員からは、創設の必要性及び設置形態についての議論は必ずしも十分とは認められないことから、まず県内の既存高等教育機関の整備拡充の可能性について検討し、その上で時間をかけて議論すべき事項である。 創設理由の一つに挙げられている国際化を担う人材育成についても、百名の入学定員に対する県内からの進学者数や卒業生に対する県内企業等の需要などを考えると、現時点ではその必要性について確信を得るまでには至らない。開学時期が決まっているという理由で、十分な議論を経ないまま県が設置主体となり新たな大学の創設に向かうのは、その必要性及び緊急性の点において疑問である。 さらに、十年前にミネソタ州立大学秋田校が設置される際心配されたことが現実のものとなっていることから、懸念される事項を一つ一つ検証し、慎重に検討を重ねていかなければならないとする意見がありました。 一方で、国際系大学構想は、常任委員会において約一年半にわたり議論を積み重ねており、また、既に基本構想案も策定されるなど、その必要性については十分な検討がなされている。あきた21総合計画にも明示され、政策判断がされていることなので、この時機を逸することなく設置すべきものであり、加えて各界各層の要望もあるようなので、確信を持って前進すべきであるとの意見が示されたところであります。 以上、付託事項について、現時点における主なる意見について申し上げましたが、今後なお一層議論を深め、鋭意調査に努めることと申し上げまして、高等教育に関する特別委員会の経過報告といたします。 ○議長(安杖正義君) 高等教育に関する特別委員長に対する質疑を行います。     [「なし」と呼ぶ者あり] ○議長(安杖正義君) 質疑はないものと認めます。 高等教育に関する特別委員会調査事項の経過報告は終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後四時二十分散会 ---------------------------------------...